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デビュー50年の小柳ルミ子が、若者に伝えたい言葉「全員に好かれるはずがない」

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 現在69歳、『わたしの城下町』で歌手デビューしてから50年の小柳ルミ子さん@rumiko2020)。

小柳ルミ子

小柳ルミ子さん

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 今年2021年発売した新曲『深夜零時、乱れ心』のキャッチフレーズは“エロック! カッコよく!”です。サバサバした気風の良さがありながら、艶っぽくカッコいい色気をまとうイメージのルミ子さんですが、もともとは“清純派”としてデビューしました。

 前回のインタビューに引き続いて、「bizSPAフレッシュ」読者の若い世代に向けて、求められるものと自分がやりたいことにギャップがある時の乗り越え方、そして上手な人間関係を築くコツについて、酸いも甘いも味わってきたルミ子さんに、じっくりとお話を聞きました。

「求められるもの」と「自分」にギャップ

――宝塚音楽学校を首席で卒業し、デビュー曲「わたしの城下町」も大ヒット。一見、順風満帆な音楽活動に見えます。

小柳ルミ子(以下、小柳):デビュー曲は叙情歌謡曲。それが160万枚というヒットで、いわゆる清純派、古風で大人しそうというイメージがすっかり世に浸透したんですね。一方、素の私はそうじゃないのにな、アクティブで、踊るのが好きな人間なのになあっていう葛藤とは常に背中合わせでした。

 どんどん自分の“素”と離れ、独り歩きするイメージに、このままではいけないという想いは大きくなるばかり。当時の事務所スタッフと戦いながら、少しずつステージの上で踊りを取り入れたりしていきました。

――映画『白蛇抄』(1983年)で主演を務め、濡れ場にも挑んだ艶っぽい姿は衝撃を与えました。求められることと、自分の“素”にギャップがある時、どうやって「自分」を出していけばいいのでしょう。

小柳:例えば葛藤があったら、自分だけで抱え込むのではなく、まずそれを関係者に伝えることです。それでダメな場合は、伝え方が悪いのか、あるいはそこまで認められていないのか。いずれにせよ、聞いてもらえないということは、自分に力がないから、説得力がないんだと思ったほうがいいですよね。相手を恨んだり、ケンカするんじゃなくて。

楽しくない毎日を送るのは時間のムダ

小柳ルミ子

小柳:私がそうでした。当時の事務所に、私が「踊りをやりたい」と言っても耳を貸してもらえないのは、私にそれだけの力がないからなんだなと。よし、じゃあ納得させられるように力をつけて、惹きつけてやってやろうじゃない、って。

 あとやっぱり、率直な意見を交換し合うのは大事なことです。自分に確固たる信念、哲学があったら、それを言うべき。言えないっていうのは、“逃げ”ですよね。怒られてもいいじゃないですか。言わないでストレス溜めちゃって、不満ばっかりで、楽しくない毎日を送るのは、時間のムダだし、精神的にも身体的にもよくないですよね。

 社会人のいちばんの仕事は対人関係ですよ。長く仕事をしてきて、本当にそう思う。仕事をしている限り、いちばんの仕事です。その点、私は、悔いがないの。人のせいにしないし、どうしても言いたいことがあれば直接伝えるようにしているから、「あのときああ言っておけばよかった」ということもない。自分をさらけ出して、とことん付き合って、とことん嫌な思いをしながらも、愛情はかけたという自負があるので、縁が切れた人たちからも多分恨まれてはいないと思うな。

 それは恋愛関係でも一緒ですね。別れた男から絶対嫌われてないと思う、今でも友達ですし。対人関係がスムーズにいくと、仕事も楽しくなる。そうして、余裕がある時に意見を交換し合っていくと、自分も成長していくんじゃないかなと思います。

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