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東京五輪は「クラスター化」の懸念も…3つの開催リスクを専門家が指摘

ビジネス

(1)感染増加と「クラスター化」

 マスギャザリングの観点で、気がかりな点が3点ある。順を追って説明していこう。

通勤 マスク

 まず、各国のコロナ対策の基準が一定でないこと、加えて各人の意識も異なることが挙げられる。各国関係者に「性善説」に基づく感染対策はあまり意味がないだろう。

 逆に日本ではどうなのか。政府関係者や政治家、医師会関係者などを含め、感染対策を怠っている国内関係者は少なくない。「どの口が言う」という指摘を逆に海外から指摘されてもおかしくはない。

 あえて言うならば、真面目に対策をしてきたのは、指摘を守ってきた飲食店や個人事業主や各種企業のほうではないか。今なお厳しい制限下でありながら耐えている店、また、苦渋のなかで閉店に追い込まれた店などは、むしろ感染症対策を守っていたからこそ、店じまいなどになったともいえるのではないか。

 国内各地において、海外からのリスクが大幅に増えるので、国内での感染増加と、選手村や受け入れ先でのいわゆる「クラスター化」が懸念される。パラリンピック関係者の一部等には基礎疾患を併合している場合があるので、この「クラスター化」は要警戒だ。

(2)新型コロナを悪用する行為

 五輪開催における根強い「反対」派のうち、強硬な組織によるテロ(その規模は別として)も危惧される。

 6月30日にはマスクを着用せず、「ワクチン接種反対、マスク着用反対」を訴えてきた団体に対応した札幌市の職員がデルタ株の感染が明らかになった。因果関係は不明だが、このようなケースは五輪開催中も考えられる。

 札幌市の例は、直接対面だったので、対応した側にも危機管理面の課題はある。各人の意見は自由だが、それによる業務への支障や、担当者への健康を害する行為などは厳に慎まなくてはならないのは、いうまでもない。

 新型コロナを悪用する行為も考えられるし、政府や自治体、関係機関がどこまで防御できるかは注視したい。テロ対策は「水際対策が重要」とされるが、たった1人でも感染者が接触することで、その効果(負の)は絶大という、バイオハザードに近い事態なのだ。

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