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僕らは「大坂なおみ時代」を生きている。彼女が日本社会に気づかせてくれたもの

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「大坂なおみのスポンサーをすること」への認識

 もうひとつ、大坂選手にはスポンサーが関わっていることへの反応があります。大坂選手のような行動をしていたら「アスリートとしての価値が下がる」「スポンサーが降りてしまうだろう、許さないだろう」という指摘です。

 結果から言うと、大坂選手の行動および声明文に関して、スポンサーは完全に支持しました。なぜかというと、それは企業ブランドとして大坂選手のような行動を取ることがプラスになると判断をしたということです。

 つまり、大坂選手のスポンサーをしていることが企業にとってはプラスであるという評価が、グローバルなレベルでは行われているのです。

可視化された日本社会と国際社会のズレ

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 ここも日本社会というものを見るポイントなんですけど、国内に関してはこういったグローバルレベルの考えと違う可能性がある。なぜこういう違いが出てくるかというと、基本的に企業がブランドイメージを気にする相手は、そのブランドの消費者。あるいはそこに投資する人たちや株主です

 そういった人たちが企業の価値を決めていくのは、今の資本主義社会における構造ですが、国際社会での消費者、株主、投資家たちは、大坂選手の行動を支持するであろうという判断がなされたということですよね。

 これは単純に企業側のみが「自分たちの価値観で大坂選手を応援します」ということではなく、基本的には消費社会全体を考えたときに、大坂選手のスタンスが企業イメージにとってプラスになると。これは消費者マインド、あるいは投資家マインドというものが、日本社会と国際社会でずれてきているのではないかということを、可視化させてくれる効果がありました。

 あえて端的に言いますが、日本の消費者は、アスリートが業界の言うことを聞かなかったり、あるいはそれ以外の政治的発言をすることに対してマイナスのイメージを持ちます。少なくともスポンサーのことを心配している人たちは「そういったことを言っている選手のスポンサーをしている会社ってどうなの?」という発想をするわけです。

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