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広告費ゼロの「フルーツ大福店」が半年で全国10店に。28歳脱サラ男性の驚きの集客戦略

ビジネス

マーケティング会社やと思ってます

 焼肉店の課題から逆算し、フルーツ大福にたどり着いた鈴木さん。オープンの約2か月前から、行列を作るべく、TikTokを本格的にスタートしました。

「これまでのSNS集客の知見をフルに使って毎日動画を投稿していきました。その意味で、うちは飲食店というよりうちはマーケティング会社やと思ってます。当時はTikTokでハッシュタグ『#これなに』がブームで。メロディに合わせて『これなにこれなに?』と言いながらフルーツ大福を切っていき、最後に断面を見せる動画を投稿していました」

「ほかにも、ショーケースに並べたフルーツ大福を撮影し、『どれが食べたいですか?』と問いかける動画もバズりました。『私はイチゴ!』『ミカンが食べたい!』といったコメントが続出したんです」

 こうした動画がヒットし、なんとオープン初日からお店の前には長蛇の列が。現在でも来客の2〜3割ほどがTikTok経由だそうです

「TikTokには10代の若者も多いですが、凛々堂のフルーツ大福はややリッチな価格なので、客層は20代以上がメインです。かといって10代にリーチできないわけではなく、親御さんと一緒に来店したり、代わりに買ってきてもらったりするケースが目立つんですよ」

 鈴木さんによると、「TikTokでは大人の財布が動かないと思われることも多いですが、実態は逆。若者が大人を連れてくるプラットフォームなんです」とのこと。

販売スタッフにファンがついている

金沢フルーツ大福 凛々堂

営業時間中ライブ配信することで、常にスマホ上で集客ができているだけでなく、アルバイトに臨時収入が入る。一石二鳥だ

 さらに特筆すべきは、販売スタッフが営業時間中、常にライブ配信で視聴者とコミュニケーションを取っていること。これが恐るべき成果へとつながっています。

「販売スタッフたちにファンがつき、“会いにいけるアイドル”のような状態になっています。たとえば、アイドルに会いたいと思ったら、CDを購入して握手会のチケットを入手することが必要じゃないですか。凛々堂でもフルーツ大福がCDのような役割を果たしていて、ライブ配信をしている販売スタッフに会うためにフルーツ大福を買うという逆転現象が生まれています

 つまり、凛々堂は「フルーツ大福を食べたい人」「ライブ配信を行っている販売スタッフに会いたい人」という、2種類の顧客を呼ぶことに成功しているのです。

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