うつ病だった“元銀座No.1ホステス”が明かす出世の真実「理想の上司はいない」
「上司が苦手で、仕事が楽しくない」「頑張っているのに、会社が自分を評価してくれない」「デキないほうではないのに、上司から重要な仕事を任せてもらえない」。そんな悩みを抱えて、日々悶々としている人も、きっと少なくないのではないでしょうか。
それに対して、「組織の中でのフォロワーシップを意識すれば、仮に上司が苦手な人でも、自分にとって働きやすい環境を手に入れられる」と語るのは、銀座ホステスから転身し、臨床心理士として活躍する水希さんです。
水希さん自身、かつては一般企業のOLとして働いていたものの、過労により、うつ病を発症。退職を機に、時間に融通が利く仕事として、銀座ホステスを選んだのだとか。自身のカウンセリングを通じて本格的に心理学に興味を持ったことから、現在は、臨床心理士・公認心理師として活動しています。今年5月に『銀座No.1ホステスの上司の評価が上がる知的なルール』を出版した水希さんに、「嫌いな上司との付き合い方」について聞きました。
仕事の出来は「フォロワーシップが9割」
水希さんいわく、上司の人柄や相性に関わらず、意識するべきは「フォロワーシップ」だとか。そもそも「フォロワーシップ」とはなんなのでしょうか?
「フォロワーシップとは、アメリカにあるカーネギーメロン大学の教授であるロバート・ケリーが提唱した概念です。リーダーが持つべき資質・リーダーシップに対して、フォロワーである部下が持つべき資質を・フォロワーシップと呼んでいます」
従来、会社組織が成果を上げるためには、「リーダーシップこそが重要なものだ」と考えられてきました。しかし、ケリー教授の調査によれば、組織に対してリーダーが及ぼす影響は1〜2割ほど。実際は、リーダーの下にいる部下やメンバーたちが及ぼす影響が8〜9割に上ることが明らかになったのだとか。
「積極的にリーダーを支え、組織に貢献できる優れたフォロワーシップを持つ部下がいれば、リーダーがそこまで優秀でなくても、高い成果を上げることができる。逆に考えれば、上司がいかに無能であっても、部下である自分自身が優れたフォロワーシップを発揮していれば、自然とチームの成果は上がり、個人としても充実した会社生活を送ることができるのです」
評価は上司のニーズを満たせば上がる
どんなに嫌な上司がいたとしても、フォロワーシップを発揮して、その上司がしてほしいことを汲くみ取り、相手のニーズを満たすことを意識する。すると、社内の評価は自然と上がっていくのだとか。
「『嫌いな上司のために、わざわざ相手の役に立つようなことはしたくない!』と思う方もいるかもしれません。しかし、会社は、学生時代のルールが通用しない『理不尽が当たり前の世界』です。非常に残念なことですが、職場によっては、男尊女卑もあるし、仕事ができない先輩でも年次が上であれば偉いという慣習もあるし、上司の言うことに納得できなくても従わなくてはならない。むしろ理不尽しかない世界です。
大切なことは、誰かの理不尽を飲むことは、負けではないということ。内心では『これは納得がいかない』と思っても、フォロワーシップを発揮すれば、のちのち裁量権を得ることはできます。上司からの評価が上がれば、発言力も上がるし、自分が働きやすい環境を作ることができます。つまり、まわりまわって、自分の意見を通す発言力を持ち、独立性を保てるのです」