安すぎるマッサージには要注意「後遺症が残るケースも」整形外科医に聞いた
“マッサージ依存”に陥る人も
マッサージやもみほぐしに慣れすぎると、だんだん依存してしまうイメージもある。実際どうなのだろう。
「施術を受けた直後は楽だけど、家に帰るとまたすぐに張ってくるとか、最初は弱い押し具合で効いていたけど、今は強く押してもらわないと全然効かないといった訴えをよく聞きます」
やはりそうか。施術を受けるうちに段々と刺激がもの足りなくなって“マッサージ依存”のようになってしまう人も、一定数いるのでは。そもそもマッサージのし過ぎは身体を歪める恐れもあり、「不調を根本から改善させていくことが大切だ」という。
マッサージやもみほぐしと似たものとして、ストレッチがある。
「皮膚・筋肉に対し、押す、揉むなどの動きで筋肉を緩め血行を促進させるのが、マッサージやもみほぐし。一方、ストレッチは関節にまたがった筋肉を引っ張ることで、筋肉の伸縮機能を回復させ、疲労回復を促します」
迷ったら医療機関へ
施術中に“内臓が悪いですね”、“しばらく通って体質改善をしたほうが良い”などと語ってくる施術者もいるが、信じてよいのか迷うことがある。
「必要以上に不安を煽って施術を誘導するところは危険だと思います。不安が大きい時は、マッサージではなく医療機関に行きましょう。また、長期間通っても症状が軽減しない場合は、何らかの病気の可能性もあるので、こちらも医療機関で検査を受けたほうが良いでしょう」
安価なマッサージは無資格のケースがほとんど。安全性は大丈夫なのだろうか。
「ほぐしやリラクゼーションといった無資格マッサージのほか、整体やカイロプラティックで関節を急激に動かす手技は、関節を損傷させて後遺症を残すリスクがあります。実際に事故も報告されています」
それほど神経質になる必要はない気もするが、無資格はあくまで”素人”。特に、首周辺の関節を急激に動かすのは危険性が高いようで、世の中にはその手の警告本もある。無理なく上手にリフレッシュしたいものである。
<TEXT/西谷格>
【川上洋平】
2004年神戸大学医学部を卒業後、同大整形外科医局入局。関連病院で研修を受け、その後、同大学大学院へ進み、膝関節外科、再生医療、スポーツ医学の臨床基礎を学ぶ。2013年に米国ピッツバーグ大学(ペンシルバニア州)整形外科留学し、帰国後は北播磨総合医療センターで勤務したのち、神戸大学附属病院で骨軟部腫瘍の臨床と研究に従事。2020年10月に「かわかみ整形外科クリニック」開院、院長を務める