文京区→昭島市に移住した30代夫婦「2700万円マンションの暮らしぶり」
テレワーク普及で郊外移住が現実的な選択肢となりつつある。2021年2月、LIFULL HOME’Sが発表した「借りて住みたい街ランキング」では4年連続首位だった池袋が陥落。本厚木や大宮など郊外都市が台頭した。そこで、コロナ禍前後にこうした郊外への移住を断行した人々を直撃取材。果たして本当に暮らしやすい街はどこなのか?
コロナ禍で出産を機に昭島へ移住
「買った当時は自分が住むとは考えてなかったです」
都内のIT企業でマーケティングをしている吉川文明さん(仮名・35歳)。将来的に介護が必要になった両親を住まわせることも見据えて、24歳で昭島市に60㎡で2700万円の分譲マンションを35年ローンで購入した。
「とはいえ、両親共に元気だったので購入後は賃貸に出しました」
その後、32歳で結婚。夫婦で文京区にある50㎡の家賃17万円の賃貸マンションで生活を送っていたが、コロナ禍で子供が生まれたことを機に昭島のマンションへの移住を考えることとなった。
「コロナ以前は出勤を考えて会社の近くに住んでいましたが、コロナ禍で出社日数が減り、テレワークが増えるなかで子育ての環境を見直すことに。都心まで通える距離で自然も多いし、ちょうど部屋も空く予定だったので昭島に引っ越そうと昨年8月に決心。育休中の妻も『復帰後は近くで派遣先を探すから』と賛成してくれました」
生活面での不便さを感じることもある
都内より“密”を感じることがなくなり、コロナに対して過敏になっていた妻の和美さんも「ストレスと不安が激減した」と話す。
「以前はマンションの周りで買い物に行くにも人混みは避けられないので、心配しかなかった。今は息子を連れて大きな公園に行けるし、市の児童館も人が少ないので必要以上に警戒することはなくなりました。さらに子供がいることで、同世代のママたちから安いスーパーの情報、小児科の評判などを仕入れられるから助かります」
その半面、食料や日用品の買い出しには車が必須など、生活面での不便さを感じることもある。
「近所にあったスーパーが潰れてしまって、車で昭島のモリタウンか立川まで行かないといけない。郊外だと個人商店が多くて、コロナ禍の経営難で閉店するところも多いんですよ」