全米で話題の「オレンジをしぼるような働き方をするな」って、どんな働き方?
「仕事への情熱と社会的な意義のバランスを」
3つめは「P-SQUARED」という著者独自のコンセプト。
「P」とはPASSION(情熱)とPURPOSE(意義)の頭文字。仕事への情熱と社会的な意義がちょうどいいバランスで重なり合ったところに働く人の幸福があると論じています。
たとえば、情熱に突き動かされて夢を追求しても誰もが十分に能力を発揮できるわけではありません。一方、社会的に意義のある仕事だからといって、ガマンを重ね気力を失ってしまっても幸せとは言えない。
けれども調査の結果から、あらゆる階層のどんな職業にも「P-SQUARED」を満たす仕事はあるのだといいます。むしろ問題は「情熱」や「意義」という言葉の捉え方。
<アフリカの子どもたちやシカゴのホームレスを救えないからといって、その仕事に意義がないというわけではない>(p.90)
だから、情熱と意義を探し求めてリスキーな冒険をするためにわざわざ職を変えたり会社をやめる必要などない>(p.98)わけですね。
はっきりとした定義のない理想を仕事に求めるのではなく、置かれた状況で価値ある貢献を果たす方がベターだというわけ。
フェイスブック共同創業者もハードワークを反省
もちろんこれが簡単にできたら苦労しないよって思いますよね。
でも、劇的な変化は必要ないと著者は言います。小さなことからひとつずつ変えていくことで効率的に働ける環境が生まれるのです。
実際にハードワーカーだった過去を反省している成功者もいます。フェイスブックの共同創業者、ダスティン・モスコヴィッツは2015年のブログでこう記していたのだそう。
<もっとちゃんと眠って、適度に運動すべきだった。(中略)水ではなくソーダやエナジードリンクをガブ飲みしていたあの当時、口にするものについてもっとマシな判断をしていたらよかったのにと思う。仕事以外にも自分を成長させてくれる色んな経験をしておくべきだった>(p.206)
人生を仕事に支配されるな。これが本書のメッセージなのだと思いました。
<TEXT/石黒隆之>