「ワークマン女子」の仕掛け人が語る生存戦略「GUと競ったら負けるから」
ボトムアップ企業に変えた「エクセル経営」
2019年、2020年と2年連続で行われた「過酷ファッションショー」。雨風や雪などの荒天をランウェイで再現、過酷な環境にも耐えられる機能性の高さを証明するユニークな内容は話題になりました。じつは、このネーミングも土屋専務のもの。
「過酷ファッションショーも、最初は広告会社が『〜運動会』のような、シンプルな名前を提案してくれていたんです。でも、私が考えた“過酷ファッションショー”という名前に変更してもらいました。今年のファッションショーはもっと強烈なものになる予定ですよ」
ワークマンでは社員全員がエクセルデータを活用し、経営に参加する「エクセル経営」が行われています。これは土屋専務が2012年に入社して以降、それまでトップダウンだった経営をボトムアップに切り替えるために始めたもの。
「以前までのワークマンはトップダウン、つまり経営者が神様だったのですが、『経営者は凡人である』と宣言したことでボトムアップに変わっていきました。社員に論破されるようなこともありますが、なんで論破されたんだろうと反省しつつ、実際にやってみたら本当にそっちのほうが正しかった、なんてことはたくさんあります」
現場の情報を上司にしつこく説明すべし
最後に、トップダウンの会社でモヤモヤしているビジネスマンにアドバイスをもらいました。
「経営者はやっぱり現場のニーズを分かっていないんですよ。変化の時代ですから、20代、30代の人たちが一番情報を持っていると思います。だから、『報連相するな! 自分で実験して何か作って持ってきてくれ』と伝えて、あまり干渉しないようにしています。
(新作のワンピースを指差しながら)この商品はそんなふうにして、どんどん進化していってるんですよ。現場のニーズを反映させたものを社員が作って持ってきてくれます。改善しましょうと相談だけされていたら、やめていたかもしれません。現場の情報って、上は知らないので、自信を持ってしつこく説明することが大切ですね」
新業態や新アイテムを次々と打ち出し、消費者にさまざまなアプローチを続けるワークマン。今後の動向にも注目です。
<取材・文・撮影/梅原しおり>