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幸楽苑vs日高屋、コロナ下で分かれた「人気中華チェーン」の明暗

ビジネス

早々とボーナスの不支給を決定

 異例の緊急事態宣言が発令された2020年4月幸楽苑の売上は前年同月比45.8%と、いまだかつてない水準へと落ち込みました。工場が操業停止に追い込まれた2019年10月でさえ、売上は69.3%に抑え込まれていたのです。

 幸楽苑は5月1日に業界に先駆けて社員の夏のボーナス不支給を決定しました。さらに11月には冬のボーナスも支給しないことを発表しています。この時期、ラーメンチェーンでボーナスカットに動いた上場企業は幸楽苑以外にありません

 幸楽苑がこれほどの苦境へと追い込まれたのは、先ほど説明した2018年3月期の不採算店の整理が影響しています。この年に巨額の損失を計上したため、2017年3月期に30%台だった自己資本比率が21%まで低下していたのです。

 自己資本比率とは会社の安全性を測る指標で、総資産に対する純資産の比率を求めたものです。自己資本比率が低いほど、金融機関などからの借入金比率が高いことをあらわしています。一般的に20%を割り込むと、やや危険な水準とみなされます。

“筋トレ”をし続けることを決めた幸楽苑

日高屋

繁華街型が主体の日高屋(筆者撮影)

 コロナで利益が出ないことは確実とみた幸楽苑は早々と賞与をカットし、経費削減に努めました。ちなみに日高屋の2020年3月期の自己資本比率は80%。まだまだ余裕があったのです。この差もコロナ禍での戦略に大きく影響します

 2020年12月末時点での幸楽苑の直営店は415店舗。コロナ前の3月時点では427店でした。すなわち、12店舗を退店しているのです。一方、日高屋は2020年2月の443から11月末で437となりました。6店舗減少となっていますが、日高屋はこの間に10店舗を新規出店しています。

 すなわち、幸楽苑はコロナ禍で不採算店の閉店を進めて、さらなる収益改善に向けて走り出し、日高屋はこれまで通り出退店を組み合わせて需要回復を待つ持久戦へと持ち込みました。

 両社の第3四半期で売上に差がついた理由はそこにあります。幸楽苑は31.8%減の201億6700万円。日高屋は27.6%減の227億4700万円となりました。幸楽苑の減少幅が大きくなっています。これほどの厄災に見舞われながらも、幸楽苑は2018年3月期に決断した肉体改造に取り組む姿勢を崩さなかったのです。

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