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製薬会社のエリート職を30歳で捨てて「シェアハウス管理人」で成功するまで

コラム

定職についてなくても入居OKな理由

 さて、ここで疑問となるのが、シェアハウス入居のハードルの低さ。一般的な賃貸物件で求められる連帯保証人・保証会社不要なうえ、定職についてなくても入居可能という点だ。住居に困っている立場からしたらありがたい話だが、貸す側となった場合はリスクばかりが大きいように見える。

 そもそも賃貸物件で連帯保証人を求めるのは、家賃滞納時などに入居者に代わって支払ってもらうため。かつては親が連帯保証人になることが多かったが、今は家賃保証会社との契約が義務付けられているケースが多い。家賃保証会社はお金を払えば契約できるものではなく、連帯保証人と同じ責任を負うだけあって審査が必須。仕事もなく金もない人にとっては大きなハードルとなる。

「シェアハウスで保証人不要が主流な理由は、契約形態が違うからです。多くのアパートやマンションは『普通借家契約』という契約を入居者と大家さんの間で結びます。これがシェアハウスでは『定期借家契約』となります。普通借家契約では入居者が望む限り住み続けられますが、定期借家契約はあらかじめ期間を区切って契約をします。

 例えば3か月と決めたら、3か月後には退去してもらえます。シェアハウスは基本的に短期入居が多いですし、もし契約後に住み続けたいという希望があれば、『更新』ではなくて『再契約』をします」

ハードルは戸建て探しと初期費用

ブルマ大家さん

ブルマ大家さん

 普通借家契約は入居者の権利が強く、たとえ家賃滞納があったとしても、すぐに退去させることができず、裁判など手続きを踏まなくてはいけない。しかし、定期借家契約であれば、契約満了になれば退去するという取り決めになっているため、家賃滞納した入居者には退去してもらうことができる。くわえて敷金・礼金といったお金を取らない代わりに、デポジットとして保証金を設定しているため、このお金も家賃滞納時の補填に使える。

 こうして1棟目のシェアハウスで成功したブルマ大家さんは、2棟目、3棟目のシェアハウスもオープン(現在1棟は権利売却済)。2年間しっかり管理人をしてお金を貯めたところで、出会い系アプリで出会った妻と結婚して、シェアハウスから愛の新居に引っ越し。無職30代男が見事な勝ち組に転身した

「今も勤めには出ていませんが、シェアハウスの管理人をしながらアパートや貸家を増やしまして、不動産賃貸を専業にして食べていくことができるようになりました。研究者時代のような立派な肩書きはありませんが、人間らしく生きています。ちなみにコロナ禍においてのシェアハウス運営は決してラクではありませんでした。

 外国人入居者も多いため2020年早々から退去が続きまして、今は家賃を以前よりも下げて、日本人の生活困窮者を対象にするという風に変化しています」

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