コロナ禍で急増「社交不安症」。人前で震えが止まらない元お笑い芸人も
あがり症を克服するには?
ではあがり症を克服するためにはどうすればよいのか。
「ひと言でいえば、脳を安心させる努力をすることです。人は記憶に基づいて未来をイメージしますから、ドキドキせずに話せた記憶と、新しいあがりをつくらないために、脳を安心感で満たす言葉のマネジメントは必須です」
新田氏が主宰する話し方教室では、次のようなカリキュラムを行っているという。
「最初のスピーチからドキドキせずに話すことを実現します。途中からはプレッシャーのある中でもあがらずに話すトレーニングをしていきますが、このときに脳を安心させる言葉のマネジメント法なども取り入れ、プレッシャーに強い脳をつくっていきます」
脳を安心させる話し方や意識の持ち方
リアルなコミュニケーションが希薄となり、あがり症人口が増える傾向にある今、新田氏が提唱するあがらない方法とは?
「あがりやすい人の特徴のひとつに、原因を自分に置いて考えるということがあります。例えばZoom会議は画面上のやり取りなので、タイミングがズレたり気持ちを読みとるのが難しかったりしますが、このときに“画面越しだから話しにくい”と合理的に考えることができれば、脳は防衛的になりません。しかし“話しにくいのは私に問題があるからだ”と自分のせいにすると、話すのが怖くなり緊張します」
あがり症は“治す”のではなく、新たな“あがり”が生まれないよう、脳を安心させる話し方や意識の持ち方を心がけるのが必要なのかもしれない。
<取材・文・撮影/瀬戸大希 櫻井れき>
【松井宏夫】
医療ジャーナリスト。『週刊サンケイ』記者を経てフリーに。’81年より医療を専門に執筆や解説。著書に『うつ病が治る最新治療』(主婦の友社)など
【永田利彦】
「なんば・ながたメンタルクリニック」院長。大阪市立大学大学院を修了後、同大学院医学研究科准教授。’13年にクリニックを開設。不安障害や摂食障害の専門家としても活動
【新田祥子】
あがり症・話し方専門家。話し方教室「セルフコンフィデンス」主宰。著書に『人前であがらずに話せる100の法則』(JMAM)他