柚子塩らーめん「AFURI」、赤字続きのコロナ下で見つけた脱出の糸口
「コストカット」や「顧客接点の見直し」
しかし、突然のコロナ禍に見舞われ、インバウンド需要が見込めなくなったことで、現在「ヴィーガンらーめん」は一部の店舗のみで提供されているという。多くの飲食店がコロナ苦境を強いられるなか、AFURIはどのような対策を行ってきたのか。
「一番の最優先は会社存続。会社が生き残らないことには、従業員はおろかAFURIを愛してくださるお客様にも残念な気持ちにさせてしまう。コロナ以降は赤字続きなので、まず着手したのは月次でかかるランニングコストの削減。無駄な分析ツールなど、企業運営に不と判断したものはカットしていき、収益の悪化が広がらないようにしました」
また、来店客とのコミュニケーションに関してもコロナ前と後で見直しを図り、より顧客目線に立った接客やサービスを提供できるよう努めているそうだ。
「実はこれまで、お客様に寄り添った形でのPRや情報発信はあえてしてこなかったんです。最近では『パーパス』や『ストーリーテリング』が大事だと言われていますが、例えば食材の良さを推すためにストーリー仕立てにした発信をしたところで、逆に変な先入観や押し付けがましさを与えてしまう可能性もある。いい意味であまり裏側を伝えず、AFURIというらーめん屋の空間に身を置き、あくまで自然体で美味しいらーめんを食べていただくのが最適だと思っていました。
しかし、コロナ禍でお客様との距離感が離れてしまうと、伝えきれない部分も出てくる。行列が出来るような多忙な中では席の回転を意識せざるを得ず、お客様ひとりひとりに向き合え切れてなかったかもしれません。今後は今の状況下でも来てくださるお客様を大事にし、しっかりと向き合っていこうと考えています」
試しに始めたECサイトが予想外の反響に
AFURIの店舗には来店客の意見を収集するアンケートフォームのQRコードを設置したり、SNS運用を開始してAFURIの好きなユーザーと交流したりして、コロナ禍を機に顧客との接点を積極的に持つように取り組んでいる。
平田氏は「昨年の緊急事態宣言発令後に程なくして始めたECサイトが、予想以上に反響だった」と最後に語る。
「2020年4月に日本でもコロナが流行したことを受けて店舗休業を決めたんですが、従業員に出来る限り働ける場所を提供し続けたかった。そこで、ECサイトを立ち上げたんです。ネット通販のイロハもなく、また店舗と同じ味をご家庭で楽しめるように作ったはいいものの、本当にお客様に喜んでもらえるか正直不安でした」
しかし、オープン初日は予想にも反して150食を超えるオーダーがあり、100万円の売上に達した。これには正直驚いたという。