Aマッソ加納が思い描く女芸人の“アガりの姿”「私がロールモデルになったる」
今のお笑いは「整頓されている感じ」
かつてお茶の間の笑いを誘った過激なお笑いのスタイルが、現在ではセクハラやパワハラとみなされ嫌悪感を抱かれる例も少なくない。
「よくも悪くもお笑いが行儀よく、整頓されている感じはあって。賞レース以外から出てきたり、むちゃくちゃやってるマジでヤバい芸人が売れたりはなかなかしない。多様性の裏で表現にも制限が生まれて、笑っていいことの幅が狭くなってきたのかなとは思います。でも、今までが自由すぎてその陰で笑えなかった人がいるわけやから、全員の感情に寄り添った笑いが、求められているゴールなのかも。なかなか難しいですけどね」
誰よりもストロングスタイルでお笑いを愛し、ブレイク間近と言われ続けてはや数年。テレビの出演機会も増え、今年こそはAマッソの年になりそうだ。
【Aマッソ加納が「お笑い脳」を感じて震えた小説3選】
● 洛田二十日『ずっと喪』(キノブックス)
「そうそう、このへんの“面白い”をこの温度で書いてくれる短編をもっと読みたいんよなあ、と思った本です。お笑いやる前に読んでたら、芸人じゃなくてうっかり書き手を目指してたかも」
● ジョージ・ソーンダーズ(岸本佐知子・訳)『十二月の十日』(河出書房新社)
「面白すぎて、2回目は『なんなん?』ってちょっとキレながら読んだ短編集。到底自分の脳では作れない映像を何種類も浴びて放心しました。お気に入りを挙げようと思ったけど、全部ですね」
● 笑い飯哲夫『銀色の青』(サンマーク出版)
「不器用な“青春”をこんなふうに書いてくれるなんて。私の知ってる哲夫さんは面白くて繊細で優しくて、そのすべてが詰まってる本。この本を私にくれた友人もウソみたいに優しいヤツ」
<取材・文/谷口伸仁 撮影/加藤 岳>
【Aマッソ・加納愛子】
1989年、大阪府生まれ。幼馴染みの村上愛と’10年にAマッソを結成し、ネタ作りを担当。現在、MBSラジオでレギュラー番組『Aマッソの両A面』を放送中のほか、YouTube公式チャンネルを配信中