阪神・淡路大震災から26年。コロナ禍の災害に備えたい課題とは
コロナ下で起きた豪雨災害の教訓は
現在のような環境下で地震などが発生する可能性は少なくない。いわゆる「複合災害」である。例として、2020年に九州、熊本などで豪雨災害が発生した(令和2年7月豪雨)。多くの被災者が新型コロナウイルス感染防止をしながら避難生活を送った。
この事例から学ぶべきことは主に以下の3つである。
(1)避難所での「3密」(密閉・密集・密接)を避ける。安全の確保時は「在宅避難」も検討する、避難所を確認し、必要に応じて最寄りの避難所へ避難すること、親戚宅、ホテル、車中泊など避難所以外に「分散避難」する。
(2)石けんによる手洗い、アルコールによる手指の消毒、マスク着用、空間を清潔に保つ。
(3)間仕切りを使うなどして個室に近い状態を作る。感染防止のためにボランティアを積極的に集められないため、避難所を運営するスタッフ不足が課題である。
知らない世代が増えても、風化させてはいけない
我々はこれまで多くの災害に直面し、大きな犠牲と被害が生じた。それらをきっかけにして今後の災害対応に活かさなくてはならない。それは、ハード面とソフト面双方からのアプローチが重要である。
道路の拡幅や防潮堤の整備などがハード面、自主防災組織や住民自身のスキル向上などソフト面だ。
双方がともに機能しなくては意味がない。国や自治体はもちろんだが、企業やボランティア、そして住民、地域社会全体で取り組む必要があるし、学ぶ必要、そして実践する必要がある。
冒頭で記した通り、阪神・淡路大震災は発生から26年を迎えた。徐々にこの震災を知らない世代が増えており、風化が危惧されている。しかし、個々の自覚と実践を意識すれば、リスキーな状況であっても乗り切れるはずだ。
<TEXT/防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹>