2度目の緊急事態宣言が発令。前回との違いと、3つの重要ポイント
1月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って特別措置法に基づく政府の「緊急事態宣言」が再発令された。対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県で、期間は1月8日から2月7日までとなった。防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏が、2度目となる緊急事態宣言のポイントを解説する。
前回の緊急事態宣言を振り返る
2度目の緊急事態宣言について触れる前に、まずは前回の緊急事態宣言についておさらいしたい。
前回の緊急事態宣言は、当初は2020年4月7日から5月6日までの1か月間だったが、結果的に5月25日まで延長された。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、そして福岡県の7都府県に対して発令され、その後、4月16日には対象が全国に拡大し、対象となった都道府県では知事が外出の自粛を要請。人が集まる施設使用制限などを要請することができた。
テレワークを徹底することや、不要不急の外出を控えることになり、私達国民の生活スタイルも一変。飲食店をはじめ、映画館、百貨店、ホテル、図書館などで営業を自粛し、多くのイベントが中止や延期に。また、宣言が出される前から学校の全国一斉休業が始まっていたが、宣言後も引き続き多くの学校が休校となった。
これにより東京では人出が大幅に減少。いわゆる「密」が繁華街などで避けられたことで、緊急事態宣言後、全国の1日あたりの新規感染者数は、4月頃の700人前後をピークに減少に転じる。最後まで緊急事態宣言の対象となっていた首都圏の1都3県と北海道の新規感染者数は、宣言解除となった5月25日には20人ほどとなっている。
「自粛」による人の交流と物流を抑え、イベントなども中止になったことで、客観的に見ても感染拡大を抑えた効果はあっただろう。その一方で、デメリットとしては経済的な打撃がまず挙げられる。特に小売りや観光といった業種に特に著しい影響を与えた。
それに伴い、コロナによる倒産や解雇者が増加。また、不景気に見られる現象として、自殺者も増加しており、特徴的なのは女性の自殺者が急増していることだ。絶対数としては男性の自殺者が多いのだが、女性のほうが対前年増加率が高い。