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アマゾン「音声コンテンツ事業」の勝算。有料会員は昨年の2倍超に

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成長の要因は独自コンテンツの強化

 宮川氏は「テクノロジーとコンテンツの2軸が、Audibleの優位性を高めている」とし、次のように説く。

「2015年7月に日本でローンチして以来、有名な作家の小説や文学作品、ビジネス、経済から落語、お笑いまで幅広いジャンルの音声コンテンツを取り扱ってきました。また、プロのナレーターや芸能人・著名人による朗読や語り(ナレーション)を入れることで、サービスの認知拡大にも努めてきた。

 さらに、2018年の8月からは月額1,500円のサブスクリプションはそのままに、『オンデマンド制(聴き放題)からコイン制(ダウンロード制)』にしたことで、Audible独自のものや海外の作品など、大幅にラインナップを増やしてコンテンツ強化を行なった。日本では立ち上げから5年経ちますが、良質なコンテンツを提供してくださる出版社やメディアとの信頼関係が構築できたからこそ、ここまで成長してこられたと考えています」

 2018年以降、Audibleは吉本興業に所属する芸人の音声コンテンツの配信や、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」で人気のコンテンツをアーカイブ配信するなどコンテンツの拡充に注力している。

コロナ禍で広がる新たなエンタメ体験

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11月19日に解禁されたAudibleのオリジナルコンテンツ3作品

「2020年11月には新たなオリジナル作品を配信しました。映画監督の堤幸彦さん率いる豪華キャスト陣が出演する『アレク氏2120』、世界的なビジネス書の『THE LEADER’S GUIDE リーンスタートアップ式 新時代の組織を作る方法 超実践編』、日本の裏社会を描いたドキュメンタリー作品『DARK SIDE OF JAPAN -ヤクザサーガ-』と、どれもこれまでになかった“聴く体験”を味わえる作品に仕上がっています。

 Audibleは『声の力を最大限に解き放つ(Power Of Voice)』をコンセプトに掲げていて、特に海外ではオーディオドラマやオーディオシネマが広く一般的になっています。コロナ禍でStay Homeの時間が増えるなか、オーディオエンターテイメントの可能性はさらに広がると考えており、今回のオリジナル作品リリースに至りました」

 筆者も「DARK SIDE OF JAPAN -ヤクザサーガ-」を視聴したが、ネット記事やテレビのドキュメンタリーでは語られない、音声だからこそ話せるリアル・ボイスの詰まった作品だと感じた。

 エッジの効いたテーマを扱う気鋭のメディア「VICE」とタッグを組み、数百時間にも及ぶヤクザや汚職刑事、シャブ極道といったアウトサイダーらにインタビューを敢行した内容は、新たなオーディオドキュメンタリーとして楽しめるものであった。

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