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1万円以下で優秀なAmazon「Fireタブレット」シリーズ、プロが勧める1台

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意外と堅牢なタブレットの構成

 Fireを手にして驚くのは、機械としての完成度が意外なほど高いことだ。ディスプレイのベゼル(枠部分)が広いのは惜しいが、液晶の品質は十分である。重さにも不満はない。端子が水濡れした場合に警告するという、妙にハイテクな機能も備わっている(Fire HD 8とFire HD 10で筆者確認)。

 Amazonの開発するスマートスピーカーに「Echo」シリーズがあるが、Fireをこれの代わりに使うことも可能だ(タブレットを全画面表示に切り替え、好きな場所から音声操作できる「Showモード」に対応していることが条件)。大きなタッチパネルが付いていながらにして、Echoシリーズと大差ない価格帯である。

 もちろん電子書籍リーダーとして完璧な端末だし、動画再生も難なくこなす。「Amazonプライム」会員なら、寝そべってアニメや映画を観て過ごすこともできる。出先で観るのなら、Fire HD 8のサイズ感がちょうどいいだろう。実際のところ、タブレットを買い求める目的というのは大半が“その程度”であり、特にクリエイティブな作業を行うのでなければ、Fireは過不足ない性能を有しているといえる

荒野と化したAndroidタブレット市場

アンドロイド

 ところで、ここ数年の間に「売れ筋商品」の座を転げ落ちたのが、“泥タブ”とも呼ばれるAndroidタブレットである。タブレット市場におけるAndroid OSは、2010年代半ばにひとたび世界的シェアを確立したものの、その後はiPadの反撃を受けて、すっかり下火になってしまった。

 かつてのAndroidタブレット市場で一番の花形は、中国のHUAWEI(ファーウェイ)製品だった。ところがアメリカのトランプ政権がHUAWEIへの制裁を行ったため、市場を牽引してきたHUAWEIは独自OSへの転換を強いられ、瞬く間にその存在感を失った。

 HUAWEIの技術力は際立っており、他のメーカーがその立場に成り代わることはできなかった。そして「Androidタブレット」という市場自体がしおれていく。こうなってくると、アプリ開発者も、タブレットの存在を意識したアプリ開発をしなくなる。現在のAndroidタブレットを取り巻く状況は、その悪循環に陥りつつある。

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