マスクが会話を翻訳も。噂のスマートマスク、開発したベンチャーに聞く
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が再拡大しているなか、にわかに注目を集めている新商品が「スマートマスク」だ。マスクの上にさらにマスクを着けるような形で装着し、これがスマートフォンやPC用の無線マイクになる。
クラウドファンディングでも多くのサポーターを集めたこのプロジェクトの起こりは、2018年に開発元である「ドーナッツロボティクス株式会社」の東大生エンジニアが在学中に研究していたものだという。一度はお蔵入りしていたアイデアが、コロナ禍によるマスクの世界的普及を受けて再浮上した形だ。
今回は、スマートマスクとして特許出願中の「C-FACE」について、開発元であるドーナッツ・ロボティクス代表の小野泰助氏に話を聞いた。
利用にはスマホ/PCが必要
先にC-FACEの仕様から説明したい。C-FACEは頬に接する両サイドのモジュールと、着脱可能なセンターモジュールに分かれており、回路やセンサーは前者に搭載されている。
ユーザーは最初に普段通り使い捨てマスクを着け、その上からC-FACEを着用することになる。身に着けるとメカっぽい外見になるが、色はマスクと同じ白であり、『13日の金曜日』のジェイソンほどものものしいわけでもない。
したがってマスクを2枚着けることになるが、オンライン取材での体感では、発話の音声が1~2割程度減じられる印象だ。この程度なら「着けたまま日常生活ができる」と言っていいだろう。
外見からはスタンドアロンなデバイスを想像するが、実際の利用にはクライアントアプリをインストールできるスマートフォンやPCが必要。また、通信に用いる規格自体はBluetoothだが、汎用のBluetoothマイクとして使うことはできないという。
大きな声で話す必要がなくなる
「C-FACEを利用するためには対応アプリが必要です。基本機能は無料で提供しますが、それ以外の部分ではサブスクリプション形式(定額制)でのアプリ提供を考えています」(小野泰助代表)
また、C-FACE自体がスピーカーを搭載しているわけではない。連携するデバイスからの音声出力が主な用途だ。
「たとえば病院の受付など、ガラスのパーティションで区切られているようなケースでも、受付係の人がC-FACEを着けていれば、話し声をスピーカーから出力することができます。なので、大きな声で話す必要がなくなります」
これにより、音声を出力する環境さえ整っていれば「10m離れた相手とも会話ができる」のだという。ソーシャル・ディスタンスを進める上では強力な武器になるだろう。