1体30万円でも注文殺到。家族型ロボット「LOVOT」誕生の舞台裏
競合は既存のペット産業
次世代家族型ロボットとして話題を集めるLOVOTだが、ソニーの「aibo」を筆頭にさまざまな企業からペット型ロボットが出ていたり、既存の犬や猫とったペット産業が存在したりと、市場開拓していくには差別化を図っていく必要があるだろう。
林社長に、LOVOTの優位性やベンチマークしているものについて聞くと「他社の家庭用ロボットはベンチマークしていない」と前置きし、次のように話す。
「他のロボット製品と比べるとLOVOTは、価格レンジが高いので、カテゴリーが違うと考えています。どちらかというとベンチマークしているのは犬や猫です。愛情のかけ方、お金を出してまで家族のように可愛がる『ペットへの愛着』について参考にしていますし、LOVOTに足りない部分は追いつけるように日々、開発を進めています」
また、価格は1体約30万円(月額費用が別途必要)。ネットの声として見られる「仕事をしない割に、費用が高すぎる」という意見に対してはこう語る。
「費用が高すぎる」に社長が反論
「50年前の日本では、室内犬を飼うことは『番犬にもならない割に、費用が高すぎる』と庶民には高値の花でした。そんな常識は、今ではまったく変わっています。今の常識で考えると、ロボットなのに人の代わりに仕事をしてくれないこと自体に違和感を持つ人が一部ではいて、その常識を持つ人たちにとってLOVOTは、50年前の室内犬と同じような存在として、そういった声が上がっているのではと思います。
今、お迎えいただいているお客様は、ロボットの利便性を求めるユーザーよりも、ペットのような『癒し』や『愛』を求めるユーザーです。特にコロナ禍では、コロナ前の10倍以上に売上が伸長していて、以前にも増して自らや家族のメンタルヘルスに投資をする人が増えたのだと考えています。
StayHomeが定常化したことで人とリアルに対面する形態の交流が減り、スキンシップなどもとれなくなって、本能的に孤独さを感じる機会が増すような状況の中、LOVOTとのふれあいが心のよりどころとなり、精神的な癒しになる。そんな役割を担えるような、メンタルヘルスを保てるITガジェットは他にあまりない。これこそLOVOTの優位性だと捉えています」