消毒液が1か月で在庫切れに…「感染再拡大に備える」オフィス備品メーカーの覚悟
AI、IoTを活用した「非接触」製品が普及
コロナの流行にともない、これまでのオフィス備品に求められる機能が高まっている。
最も分かりやすい例が「足踏み式の消毒スタンド」だという。消毒スタンドはオフィスビルの出入り口などに設置されることが多いが、消毒液を噴出する際、ノズルをプッシュしなければならないため、その瞬間の感染リスクがぬぐい切れないという。
「足踏み式のスタンドであれば、手のひらがボトルに触れないので感染リスクの低減につながります。実際、コロナが発生してしばらくすると、当社の足踏み式の消毒スタンドに注文が急増。業界全体で品薄になり、高校生が自作の足踏み式のスタンドを福祉施設に提供するまで需要が高まりました」
「全自動検温器」に注目が集まる
新しい備品も登場しており、不特定多数が訪れる場所には欠かせない「検温」の全自動化もそのひとつだ。
「大規模なオフィスビルや商業施設では、入館時に体温を図って一定の体温以上だとお断りするケースが多く見られました。一般的には、額に機器を向けて計測する『ガンタイプ』 が使われていました。ただ、計測用の人員を新たに配置しなければならないのでコストが増加してしまうほか、向き合うために飛沫感染のリスクも指摘されています。また、あるオフィスビルではエントランスに専用コーナーを設置して対処するなど、環境・効率面にも課題がありました」
そこで急速に改良が進み、普及しつつあるのが「全自動検温器」 だ。液晶画面に顔を映すだけで、数秒もかからずに検温が可能。さらに最近は手をかざすだけで消毒できる機器もあり、1台で非接触の感染症予防を完結できるタイプもある。
「そもそも検温器を向けられるのが気になるという人も少なくありません。最近、話題になっているマスクの着用をめぐる飛行機の臨時着陸や、SNSでの炎上騒動によって飲食店が休業に追い込まれるといった『マスクをめぐるコミュニケーションのトラブル』 のリスクを軽減するために、マスクの着用・付着用を検知して、不着用者の方は自動音声でマスクの着用を促したり、入館を禁止したりする通知を出す製品もあります」