東京→北海道旅行で感じた「Go Toトラベル」支援策の難しさ/常見陽平
支援策の難しさも浮き彫りに
ただ、苦言を呈するわけではないのだが、Go Toキャンペーン全般をみると政府による支援策の難しさも浮き彫りになってくる。
「Go Toトラベル」にしても、当初は直接給付のほうがいいという議論もあったが、観光業の対象をどこまでとするべきかは悩ましかったはずだ。観光地でも、例えば物産展は入るのか。高台と平地を繋ぐロープウェイは交通手段なのか観光施設なのかなど、この辺りのジレンマは、地域共通クーポンという形で補うことになった。
目線を変えると、コロナ禍で注目されることになったワーケーションも同じような疑問が浮かび、どこへお金が落ちるのかが課題になっている。少なくとも政策として奨めるからには、誰にとっても自分たちが支払った税金が使われている企画であり、使えばその分だけ経済へ貢献することになるため、利用者が後ろ指を差されるようなこともあってはならないはずだ。
ドラマ『半沢直樹』総評
さて、直近の話題として最後に少しだけ、9月27日に最終回を迎えたドラマ『半沢直樹』について振り返っておきたい。
最終回の総合視聴率が44.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)と、その後の反響をみても近年まれにみる大ヒットドラマとなったが、今回のシリーズについては、筆者が愛読している人気シリーズ『島耕作』と同じく、主人公がキャリアアップするにつれてスケールが大きくなり過ぎていた印象も受けた。
前シリーズのように主人公・半沢の実家がネジ工場であったという設定は薄れて、大手IT企業・電脳雑技集団とスパイラルの買収合戦や、破綻寸前の航空会社・帝国航空の再建。さらには、政界と銀行の癒着であったりと扱う内容の範囲がより広くなっていたものの、一方で、多くの人にとっての会話の材料となり、国民的作品としての役割をまっとうしていた。