手取り15万円の保育士「都内で一人暮らしは無理です」
コロナ禍で、日常生活になくてはならない医療や介護の従事者は“エッセンシャルワーカー”として注目を浴びました。その1つでもある保育士は、働く子育て世帯にとってなくてはならない存在。その職場環境とはどのようなものなのでしょうか。
今回は都内にある私立の認証保育園で働く駒場朱莉さん(仮名・22歳)に話を聞きました。
アルバイトで貯めた費用で専門学校に
「私は高校卒業後、1年間、飲食店でアルバイトをして学費を作ってから、夜間の専門学校に入学しました。学校は2年で卒業し、都内にある保育園に就職しました。大手の保育園グループだったので安泰だと思ったんです……」
しかし、いざ働いてみると激務のわりには給料がよくなかったといいます。
「額面だと18万円くらいで、そこから厚生年金や保険料など引かれていたので、手取りは15万〜16万円くらいでした。みんな手取りが低くて、都内では一人暮らしができなかったので、実家住まいや同棲組が多かったですね……。都内で一人暮らしをしていた同僚は、親から仕送りをもらっていました。仕送りをもらってまで働くのっておかしくない? と内心思いましたね」
保育士は国家資格であり、取得するには学費がそれなりにかかるもの。さらに、なくてはならない職業であるにもかかわらず、待遇が不十分であることについて、朱莉さんは不満を漏らします。
自治体によって違う保育士支援制度
東京都では足立区や荒川区など、いくつかの自治体で奨学金返済支援事業が実施されています。例えば足立区には、奨学金を使って保育士資格を取得し、区内の私立保育施設に勤務する保育士を対象に、返済にかかった費用の2分の1(上限10万円)を補助してもらえる制度があります。
「奨学金制度で資格を取って、働きながら返している子もいます。“保育士の人材不足”などとニュースでよく聞きますが、うちの自治体には奨学金返済支援制度がないんですよね……。私は実家暮らしから同棲を始めて、3万円を家に入れています。ほかにスマホ代が2万円、毎月2万〜3万円くらいはメイクなども含めた身だしなみ代に使っています」
その他、家賃補助や養成施設への入学金の貸付制度などの導入は広がりつつありますが、現状では自治体によってまちまちです。