32歳・元“歴ドル”社長が起業を決意した「祖母の入院」と「三方よしの精神」
10年以内には株式市場に上場したい
だが、社長業に専念する環境が整った矢先に、コロナ禍という荒波が待ち受けていた。
「今年は厄年なんですよね(笑)。コロナの影響で、創業以来初めて売り上げが落ちました。でも、『死ぬこと以外はかすり傷』って言葉もありますが、そう考えれば大したリスクではないと思えます。とりあえず今できることを全てやろうとしています。気がかりなのは、事業よりも高齢者のことです。コロナで人と会うことができず、フレイル(加齢によって心身が弱っている状態)が進まないか心配です。やはり、この事業は絶対に世の中に必要だと改めて思いが強くなりました」
弱気になるどころか、彼女は明るく大きな未来を思い描いている。
「創業して3年が経ちましたが、まだ経営者としてはスタートラインです。コロナで成長のスピードは落ちましたが、あと5年、遅くとも10年以内には株式市場に上場できればと思っています。私がビジネスで大事にしているのは、『買い手よし、売り手よし、世間よし』という近江商人の『三方よし』の精神です。この家事・育児支援サービスは薄利多売なビジネスなので、三方よしを実現するには上場するくらい大きい規模感にしなければなりません。“かあさん”たちも利用者の方も何千人何万人に増え、一人でも多くの高齢者を笑顔に、元気にすることが私の使命だと思っています」
<取材・文/中野龍>