パソナの淡路島移転、コスト削減だけじゃない事情とは
移転先の新オフィス規模に不安も
取り壊しが決まっているビルに入居するメリットは、自由度以外にもあります。
「大有丸(大手町、有楽町、丸の内)エリアのビルは築古でも坪単価3万5000円は取れる場所、パソナがいくらで借りているかは非公表ですが、賃料坪単価2万円程度との噂も。東京駅徒歩1分の好立地ビルを破格の賃料で借りているのは間違いないです」
再開発による退去期限があるなかで発表された、淡路島への本社移転。しかし、とっくさんは「移転にあたって課題も多い」との見方をします。
「現在パソナは1万5000坪を賃借していますが、スペースの使い方がかなり特殊なので、実効オフィスワーク面積としては1万坪前後と予想します。このスペースを社員1800人で利用すると、社員1名あたり5坪以上の有効面積が割り当てられます」
現実的には600人が移動する程度?
「一方、リリースによると今回の淡路島本社移転で、社員が入居する新オフィスは約5300㎡(≒約1,600坪)と記載があり、社員1人あたりの有効面積が約1.6坪と、かなり手狭な印象です。テレワークの併用も考えられますが、それだけでは1000人規模の従業員を抱えるのは厳しいでしょう」
現在の本社機能の受け皿とするには心もとないことから「1000人規模の移動は理想で、現実的には500~600人が移動する計画に落ち着くのでは」と、とっくさんは予想します。
「現在の東京都市部に広大な再開発前の建物や土地がないため、同じ賃料水準で物件を探すのは難しいし、あったとしても都落ち感が出てしまう。そこで、地方創生や働き方改革の文脈に沿った『淡路島移転』というキャッチーなフレーズで、オフィスコスト削減に打って出たというのが濃厚です」