「ただ言われたことをこなす人」がどんどん苦しくなっていく理由
「課題を設定できる人」が求められる
それらをうまくこなすための人材を育てるのが、大人になるまでの教育だとすると、腑に落ちることが多いのです。
基本的な読み書きや数的能力、複雑な事象を細かく暗記する力をつけるための歴史や地理、世の中で起きる事象の論理を理解するための物理や化学などが中心とすることで「与えられたゴールを適切に達成する人材」を育成できたのです。もちろん、これらは世の中を生きていくにあたって重要なスキルですし、これらを過不足なくつけられたのは良かったです。
しかし、現在の世界は少し空気が変わってきています。ただ「良いものを、安く、早く」と一生懸命やってきて、最適化を進めていた企業が、まだ設立10~20年のテックカンパニーにおびえているのです。
そういう状況では、今までのように「素直に与えられたゴールを解き続ける人」の価値は相対的に下がっていってしまいます。もちろん、従順に与えられた課題に向き合う人は一定数必要です。
課題設定→解決→課題設定のサイクルを回す
ただ、より需要が増すのは「そもそも今はどんな構造に陥っているのか?」「それはなぜだろうか?」「その状況で自社が勝ち抜くためには、どんな課題を設定すべきか?」と考えて、解くべき課題から設定できる人ではないでしょうか。
世界全体の潮目が変わっているのですから、教育自体も大きな変革が必要だと考えています。しかし、ぼくたちはすでに過去の状況に最適化された教育を受けてしまっており、普通に過ごしていると「ただ言われたことをこなす人」となってしまい、需要が低下してしまう危険性をはらんでいます。
そうならないためにも、今からでも「そもそも自社はどんな課題を解こうとしているのか? それは本当に課題なのか?」と考え、自分の影響範囲内で課題の再設定を実施し、それを解決し、さらに一歩深い課題を設定する、という行動をとることをおすすめしたいです。
そうしていくことで、より現代に合わせた「課題を自身で設定する」という力がつくことに加え、今やっている仕事の本質的な意味に気づき、やりがいも増してくるはずです。
<TEXT/戦略コンサルタント Shin>