吉村知事の発言はまずいが…「うがい薬」に期待できる“意外な効果”
うがいをするのは水で十分?
ただ、SNSでは「うがい薬が口腔環境に悪影響」という噂も聞くが、本当か?
「うがい薬は用法を守って使う分には大丈夫ですか、使用回数を守らなかったり、薄めないで原液のまま使用するのはやめたほうがいい。100種類以上ある口内の細菌バランスが崩れ、喉を痛めたり、甲状腺機能障害になったりする恐れがありいます。また、うがい薬ではなく、水だけがいいと言われていますが、これは水道水に塩素が含まれているからです」
当然、ミネラルウォーターや生水では、あまり効果は期待できないかもしれないのだ。宮本氏は口腔ケアの第一人者でもある。口腔ケアには、口の中の汚れを取り除く「器質的な口腔ケア」と、主に高齢者などを対象に舌や頬などの筋肉維持などを目的とする「機能的な口腔ケア」の2つがある。
アフターコロナ、ウィズコロナの時代は歯磨き、舌磨きを含めた前者の「口腔ケア」が特に求められるそうだ。
歯周病菌を減らす口腔ケアが重要に
「歯の周りには1mgあたりに10億個のバイキンがあり、粘膜には1mgあたり1億個のバイキンがいます。また口の中は、歯だけではなく、頬のウラや粘膜、ベロなどもあるため、歯を完璧に磨いても全体の70%しか清潔になっていません。これからは歯のケアだけでなく、舌の上を拭ったり、こまめにうがいをしたりする粘膜のケアが重要になるのです」
実際、最近では専用のクリーニング機器を使い、歯の表面のバイオフィルム(細菌が堆積しフィルム状の層になったもの)の除去も勧めている。
ちなみに歯周病菌は口臭とも関係があるという。昨今、マスクをしている自分の口の臭いが気になる人もいると聞くが、宮本氏は「ベロの汚れと歯周病」が原因だという。
「マスクをしているときの口の臭いは、他人とキスをするくらいの距離になると漂うといいます。なので、めったな距離では臭いません。歯周病は40歳過ぎてから増えるので、それより若くて口臭が気になる人は、舌に菌が付着して汚れているのが原因だと予測されます。また、喫煙者は唾液量が減るので、口のなかで菌が増えやすく、歯周病も進行しやすいです」
予防対策マスクをつけるときの注意点は?
ちなみに病院ではコロナの院内感染が問題になっているが、宮本氏が働くような歯科医院での感染する恐れはないのか。
「日本は歯科医院でコロナを患者に感染させた事例はありません。当初アメリカでは、歯科医院は最も危険な職場のひとつとされていましたが、現在はビーチにいるよりも安全、レストランのアウトテラスと同じくらいのリスクとされています。そのため、フェイスシールドや手洗いうがい、マスクといったスタンダードプリコーション(標準予防策)はしていますが、基本的ないわゆる“三密”対策をするだけで、それ以上の特別なことをしていません」
さらに口腔ケアからは若干外れるが、口の中の状態をより良くするためのアドバイスも聞いてみた。そもそも海外などを含めコロナ患者には「無自覚の新型コロナ患者」が全体の30~40%いると推定されている。感染を防ぐだけでなく、感染させないための努力も必要だ。
イソジンなどを使って飛沫のなかに含まれる新型コロナの量を減らすことを期待できるかもしれないが、「PCR検査の際の指標に従えば、うがいをしてもコロナウイルスが減少するのは1時間程度」(宮本氏)という。