日本でもTikTokが禁止に?本当に“中華製スパイアプリ”なのか
“中国製アプリ”だけが問題なのか
今日ではさまざまなアプリやWebサービスが、ユーザーの個人情報にアクセスしている。Amazonは住所を、Googleマップは位置情報を求めるが、それらは正当な目的のために利用される限り問題にならない。
しかし個人情報の利用に関して、違法とは言えないまでも“行儀が悪い”アプリやWebサービスは複数存在する。
たとえばFacebook(米国)がそうだ。Facebookの「退会」処理は煩雑で、選択肢によっては退会後もネットの行動履歴を追跡されるなど、不誠実な仕様となっている。
また、若者に人気の写真加工アプリ「SNOW」(韓国)も以前、「位置情報を提供するとフィルタの種類が増える」という仕組みを採用していた。ユーザーが受け取るボーナスは位置情報と無関係のものなので、悪い仕様だったと言えるだろう。
このように、個人情報の取り扱いに不審な点があるのは“中国製”に限った話ではない。「日本製だから」「米国製だから」というあいまいな理由で許されてはいけないはずだ。
本気でスパイをする気なら…
トランプ大統領によれば、「中国政府がTikTokを使って、世界中の機密情報を集めようとしている」のだという。まるで日曜朝の特撮ドラマの筋書きみたいだ。
しかし、TikTokが中国製であることはすでに有名である。たしかに中国政府には機密情報を集める動機があるが、あえてTikTokをスパイ行為に利用する意味があるだろうか。
日本や米国に会社を設立するのは容易であり、“中国色”を消し去ったSNSを広めることも可能なはずだ。そうなると、ひと目でわかる“中国製”アプリだけを警戒しても意味はないし、さらに言えば、国内の機密情報を狙っているのは中国政府だけではない。
しかもTikTokで手に入るものといえば、その大半がダンスの動画と、10代少女の個人情報なのである。そんなもの、国家戦略上重要なわけがない。外国人をスパイするためにTikTokを広めたのだとしたら、効率が悪すぎる。