不況でも、なぜマスコミ就活は”狭き門”なのか。大手出版社勤務の就活ブロガーが出した答え
コロナ禍で選考が間延びしている今年の就職活動。近年は「出版不況・部数減少・視聴率低下」が叫ばれ、人気が落ちているマスコミ業界だが、採用人数のすくなさもあいまって、大手に限ってはいまだに高倍率である。
一般企業の就活に比べ、趣味や文章力を問う個性的な選考が行われるなど「向き不向き」の影響が強い業界だが、その実情はどうなっているのだろうか。大手出版社に勤務しながら、2年で200人のマスコミ志望就活生に携わり、月に1万2000人が来訪する就活ブログを運営する、キャリア系インフルエンサーの出版太郎氏(@syuppantaro)に聞いた。
OB訪問の密度が求められている
――今年のマスコミ就活について教えてください。
出版太郎(以下、出版):ES(エントリーシート)を出した後に面接が止まる企業も多く、気持ちが切れやすくなる学生が多い印象です。例年に比べてメンタル的な消耗が激しいのは間違いありません。ただ同時に優秀な人は優秀だな、という印象も受けます。
――優秀な人は優秀、とは?
出版:優秀な学生はコロナ禍でもオンラインでOB訪問をしていたり、臨機応変なアプローチをしています。ツールや手段が変わっても、能動的な学生は自分から動くということだと思いますね。
また、同じOB訪問でも事前に質問事項を送ってきたり、ESを持参したり、自身の課題に対する解決案を持ってくるような積極的な学生がいる一方、「自己PRって考えたほうがいいですか」というような初歩的な質問をしてくる学生もいます。
オンライン環境の変化によってOB訪問自体のハードルが低くなっている分、OB訪問の密度の濃さが求められている気がします。
マスコミに向いている人の特性
――マスコミ就活において「優秀な学生」とはどのような人物ですか。
出版:マスコミ就活が一般企業の就活と違うのは、優秀だな、と思われる学生が採用されるとは限らないということです。マスコミ就活において重視されるのは「自分のキャラを持ち、自分のペースで進み、自分の個性で差別化しているか」という点だと思っています。
つまり、少しクセのある学生のほうが好まれる傾向にあるということで、特に出版業界ではそれが顕著ですね。私が見てきて出版社に受かった人は、BLを年間200冊読んでいたり、忍者オタクだったり、個性的なタイプが多かったです。
なので、マスコミに入りたいという熱意を持っていて優秀な人でも、「この子はマスコミ向きではないな」と思うこともあります。