コロナ対策に“次亜塩素酸水”って結局、有効?そもそも安全性は
新型コロナウイルスの感染対策でさまざまな変化を遂げた生活様式。しかし、たとえ感染対策のつもりでも、間違った解釈のまま実践していると、命を落とす危険性も……。識者たちの声をもとに、我々の日常習慣にはびこるリスクを洗い出してみた!
次亜塩素酸水は結局安全か?
品薄になった消毒用エタノールの代替品として、期待された次亜塩素酸水。
「空中に散布すると消毒効果がある」との説が流れ、多くの自治体や企業が、次亜塩素酸水用に噴霧器や加湿器などの購入に踏み切ったが、その有効性や人体への影響に疑問を呈す声も多く、使用を中止する自治体や企業が続出した。
しかし、6月末には、膠着状態を打ち破るように、経産省と厚労省、消費者庁が合同で「十分な濃度の次亜塩素酸水はモノに付着したコロナウイルスの消毒・除菌に有効である」と報告。流水でかけ流す場合は、「有効塩素濃度35ppm以上で20秒以上」、拭き掃除の場合は「有効塩素濃度80ppm以上」とするなど、適切な濃度や使い方も発表された。
※出典:新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
自己判断での過剰使用は厳禁
だが、報告では、人体への安全性は検証されず、噴霧器の有効性をはじめ、使用用途には疑問が残る。これを医師はどう見るのか。内科医・岡宮裕氏に聞いた。
「私個人の見解では、次亜塩素酸水は、あくまでも器具の洗浄や消毒には使用できると考えます。また、次亜塩素酸水で消毒した器具を誤ってなめた程度であれば、健康被害はないはずです。
ただ、手指の洗浄に使った場合やミストで体内に吸入した場合の安全性は確認されていないので、使用には慎重になるべき。それ以前に、次亜塩素酸水のミストに、本当に空気の消毒効果があるのかは疑問です」
思わぬ健康被害を避けるべく、現時点では自己判断での過剰使用は厳禁だと心得よう。
【岡宮 裕】
内科医・代官山パークサイドクリニック院長。体に負担の少ない漢方薬を併用した治療を行っている。また、スポーツドクターとしても活躍
<取材・文/週刊SPA!編集部>