伝説のサブカル誌が復活。50代編集長が「会社を辞めてまで」実らせた執念
『ワンダーJAPAN』という雑誌をご存知でしょうか? 廃墟・産業遺産・工場・ダム・珍スポ・大仏・公園遊具など、これまで脚光を浴びることのなかったスポットの数々を紹介し、工場夜景ブームやダムブーム、軍艦島人気などのムーブメントを生んだとも言えるサブカル誌です。
異彩を放つ雑誌が8年ぶりに復活
変な顔の仏像のドアップや、摩訶不思議な建築物などのインパクト大の写真とともに、
「さようなら軍艦アパート」
「楽しい公園遊具の世界」
「巨大亀甲墓の美」
などのこの雑誌でしか採用しないであろう特集タイトルが並ぶ表紙からして異彩を放っているので、ヴィレッジヴァンガードなどで目に止めたことがある人も多いかもしれません。
2005年の刊行以来、コアなファンを開拓してきた雑誌でしたが、2012年に発売された20号を最後に休刊していました。
それが、2020年6月24日に8年ぶりに『ワンダーJAPON』として復刊。発売直後からSNSでも話題となり、復刊から1週間も経たないうちに増刷が決定しています。
編集長は50代にして勤めていた会社を辞め、通常は外注することが多いページデザインのスキルを独学で身に付け、新たな出版社を探し出して復刊にこぎつけたとのこと。
そこで今回は復刊に至るまでの経緯や、独自の道を突き進むようになったきっかけを編集長の関口勇さんに語っていただきました(以下、関口氏寄稿)。
不思議なものは想像が膨らむ
そもそも幼少期に、両親が共働きで、弟も母親の職場に預けられ、帰宅しても誰もいなかった状況で空想癖が身についてしまったことが遠因としてあるのかもしれません。
不思議なものを見るのが大好きなのは、いろいろと想像が膨らむから。大人になって、オカルトをエンタメとして楽しむようになると、世の中には現実のほうが不思議なことが多かったりします。
街中を見渡せば、「どうしてこんな形の建物になったんだろう」とか、「なぜ、この家だけ周りの時間の流れから取り残されてレトロなのか」とか、「このホテルはどうして朽ちたまま、解体されずに残っているんだろう」など、次から次へと素朴なギモンが湧くものが多い。