コロナは各階層にどう影響したか?株長者は転落、生活保護が増加…
違法な減給や未払いで、生活できなくなる人も
一方、こうした能力至上主義の弱肉強食の世界が始まろうとしているなかで、最も苦境に立たされるのがやはり下流層だ。貧困問題に詳しい社会福祉士の藤田孝典氏は、影響をこう語る。
「4月にコロナによる労働問題や困窮問題について電話相談窓口を『何でも相談会実行委員会』が設けたところ、全国から42万件の相談がありました。実際に対応できたのはそのうちの約5000件でしたが、多くが貯金100万円以下でゼロという人も……」
藤田氏によるとコロナショックで月収が10万円以下になった相談者は757人に上り、なかには3万円というケースもあった。しかもこのような大幅な減給は非正規労働者だけではないという。
「労働基準法では最低限の休業補償は給与の6割と決められていますが、企業もゆとりがないので違法な減額や未払いがまかり通っています。給料が出なければ辞めるしかないと、結果的に自分から退職してしまったケースも多い。本来は会社都合なのに、自己都合退職に仕向ける動きがあるんです」
コロナよりも経済的理由で亡くなる
会社都合なら失業保険は30日後に受け取れるが、自己都合だと90日後になり、その間を食い繫いでいくことができない。
「こうした人々は生活保護を受けざるを得ない層になっています。現在、生活保護を受けているのは高齢者が多く、若年層の割合は低いですが、今後は低賃金をやりくりしながら生活を支えていた若年層の受給数が増えるでしょう。’08年のリーマン・ショックは産業界の危機にすぎませんでしたが、コロナは一般人にも影響を与える戦後最大の危機です」
打撃を受ける困窮者が求めるのは、早々の経済活動の再開だ。
「収入が安定している上中流層は感染リスクを考慮し、自粛を呼びかけますが、低所得層はコロナよりも経済的理由で亡くなる可能性が高い。自粛ムードが継続し経済のシュリンクが続けば、加速度的に貧困層が追い込まれていきます」