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キャッシュレス戦争の勝者は「d払いなどの通信系」。その理由は…

コラム

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて、キャッシュレス決済が、釣り銭の受け渡しが不要という面でも推奨されている。そんなキャッシュレス生活を徹底し、2019年の1年間で現金で支払った回数がわずか17回というのが、ビジネス書作家の美崎栄一郎氏だ

キャッシュレス

ビジネス書家の美崎栄一郎氏

 前回のインタビューでは、キャッシュレス決済だけで日本中を旅した1年分の記録などを綴った著書『キャッシュレス生活、1年やってみた』(祥伝社)について話を聞いたが、後編では、100以上のキャッシュレスサービスを使いこなした著者ならではの視点で、今後のキャッシュレス業界の動向を伺った。

「2024年までにキャッシュレス戦争は終結する」と断言する著者に聞く、私たちユーザーのサービス選びにも直結する「キャッシュレス戦争の勝者と敗者」とは――。

ユーザーが選ぶのは「タッチ決済」

 キャッシュレスには決済の種類別に、クレジットカード、QRコード決済、プリペイドカード、電子マネー(交通系、流通系)に分かれる。現在の主流は店頭でQRコードやバーコードを読み取る、もしくは読み取ってもらうQRコード決済だ。

 しかし、今後は電子マネーとひも付けて、かざすだけで決済する「iDなどのタッチ決済(非接触型決済)にシフトする」と美崎氏は予想する。

「理由は非常にシンプルです。QRコード決済はタッチ決済と比べると、店舗も利用者も手間がかかり利便性が劣ります。また、これから増えるであろう『キャッシュレス自販機』なども、QRコード決済だと不便。日本の紙幣と硬貨が一新する2024年に、自販機やレジシステムなどに大規模な設備投資が行われ、そのときが、社会全体が現金からスマホ決済に移行する最大の機会です。2024年に近づくにつれてQRコード決済からタッチ決済に移行していくでしょう」

 実際、中国モバイル決済「Alipay(アリペイ)」 が2020年3月に非接触型決済のアプリを公開するなど、美崎氏が言う「スマホ決済のタッチ決済へのシフト」はすでに動き出している。

キャッシュレス戦国時代は終結する

クレカ キャッシュレス

※イメージです(以下同じ)

 キャッシュレス決済のみの自販機の導入が行われる2024年にはタッチ決済が広く普及し、その結果、現在の「キャッシュレス戦国時代が終結する」と美崎氏は予想する。

「今のようなスマホ決済サービスが次々に参入する時期は、もう終わったと考えても良いでしょう。これからは2024年に向けて各サービスの淘汰が始まります。実際、PayPayの20%還元キャンペーンなどの大規模なスマホ決済の周知プロモーションやユーザー獲得合戦は、すでになくなり、各社はポイントを重視した集客にシフトしています」

 そして、その勝者はドコモ系列の「d払い」「iD」、ソフトバンク系列の「PayPay」などの通信系サービスだという。

「使える店舗が限られるWAONやnanacoなど流通系のサービスは、ポイントがたくさん獲得できないというデメリットが大きく、苦戦を強いられるでしょう。また、セキュリティ対策などのスピーディな対応も難しい。その結果がどうなるかは、リリース直後に個人情報流出のトラブルが発生したセブンイレブンの7payの顛末を見れば明らかです」

キャッシュレス生活、1年やってみた

キャッシュレス生活、1年やってみた

現金を使わない1年間から見えてきた、日本のキャッシュレス決済の動向。 結局、どうするのが一番いいんですか?

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