コロナ対策がもたらすメリットとは。保守的だった企業に変化が
成長機会と捉えるべきか
ただし、これは成長機会でもある。きちんと情報収集をおこなえば、政府系金融機関等の通常の利息つき融資を受けることもできるだろう。この機会にコマーシャルペーパーや転換社債を発行するという手もある。
さらに進んで、優先配当・完全無議決権・取得条項付種類株式を発行して社債的に運用する道を考えるなど知恵をしぼればいくらでも資金調達の道はある。財務担当役員(CFO)にとっては新たな知識を得る成長の機会である。
これに加えて新型コロナウイルスという人類共通の脅威を前にして実現されるイノベーションの種もある。企業全体が成長する機会と考えうるものだ。たとえば設計のオープン化である。
囲まれがちだったデータが公開
ITの世界で一般的だったオープンソースという考え方をモノの研究開発で活用する必要性が、新型コロナウイルス以前から叫ばれ始めていた。オープン化とは「開発プロセスが公開されて誰でも参加できるようになる仕組み」である。
しかしながら、機密や競争関係や文化など様々な要因によって、IT業界以外においてオープン化の流れは遅々として進まなかった。だが、新型コロナウイルスの脅威は企業の競争や文化を飛び越した。
メドトロニックによる人工呼吸器の設計一部公開、FOLDITによる新型コロナウイルスの3D構造解析プロジェクトへの一般参加の呼びかけなど、これまで企業や研究所が囲い込まれがちだったデータや設計が公開され、全ての人がその利用や改変に参加できる流れができたのである。
重要なのは、こうした流れに多くの企業人が慣れつつあることだ。