東京で就活する地方学生の悩み「交通費だけで20万円。宿泊費も」
Web面接をやっている企業は少ない
近年はWeb面接・SNS採用・非公開就活イベントなど、新しい採用方法も生まれている。一見、地方就活生の環境は改善されたかのように思えるが……。
「私の志望業界だけかもしれませんが、web面接等を実際に取り入れている会社が多くないので、あんまり恩恵は感じないです。『本社に来て、働く人や環境の雰囲気を見てほしい!』と謳う会社が圧倒的に多く感じます。
マイナビの『Web面接』という検索項目で出てくる企業は500社くらいありますが、食品・営業関連・地域など、カテゴリを絞っていくと実際にWeb面接を受けれる会社は15社未満に減ってしまいます。Web説明会は増えましたが、面接までWebでやっている会社は少ないし、見つけにくいのが現状です」
IT中心に、Web面接の導入が進んでいる業界も増えてきたが、未だオフィス面接が大半で地方就活生の不便さは解消されていない。一方で、地方就活にもメリットはあると山口さんはいう。
コロナショックで改善の兆しも?
「保険をかけて、地元企業にも気軽にエントリーできるのが良い点ですね。また、私の住んでいる地域では有効求人倍率が1.8倍を超えているので、もし都会の企業の選考が全て落ちても、仕事を選ばなければ食べては行けるという安心感があります」
とはいえ、地方と都会の就活格差は明白だ。有効求人倍率だけで見れば、職業の選択肢が多い都会のほうが有利だろう。
「知人の中には『行けても5社が限界。書類で最初に落とされそう』とか『もっと都会の学校選んでおけばよかった』とか、不満を漏らす人もいます。都心の方々との壁が減るので、早く日本全国の企業でweb面接を取り入れて欲しいです」
地方就活生を取り巻く環境は、依然として厳しい。しかし皮肉なことに、コロナショックの影響で在宅勤務・テレワークの必要に迫られ、あらゆる業界で急速にWeb環境の整備が進んでいる。コロナ終息後には、就活生が気軽にWeb面接を受けられる時代が訪れていることを願いたい。
<TEXT/bizSPA!取材班>