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4月から中小企業も残業時間の規制が。本当に残業は減るのか?

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残業規制の対象外となる仕事も

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「臨時的な特別な事情」があったとしても、残業時間に制限が設けられたということは、無制限に残業することはもうできなくなったということですよね。これはすべての仕事に適用されるのでしょうか?

「一部対象外となる職種があります。新技術・新商品等の研究開発業務は本適用から除外されているほか、工作物の建築事業、自動車の運転業務、砂糖製造業、医師については5年間の適用猶予とされています。これらは業務の性質上、他の業種と同じような残業規制が難しいためです。

 ただ、工作物の建築事業、自動車の運転業務、砂糖製造業及び医師は5年間の猶予中にそれぞれの分野に応じた上限規制が策定されます。これにより、長時間労働規制の趣旨である『労働者の健康維持』等を、立法により達成できることが期待されます」

「持ち帰り残業」はどうなる?

 これで少しでも長時間労働が是正されるといいのですが、月45時間を超えそうだからといって、自宅に持ち帰って仕事をするいわゆる「持ち帰り残業」を指示する会社も出てきそうですよね。持ち帰り残業は残業時間としてカウントされるのでしょうか?

「はい、カウントされます。もっとも、長時間労働規制を逃れるために、会社が従業員に対して『持ち帰り残業』をさせているとしたら、それ自体が労働基準法違反となりえます。

 そのため、会社と労働者の両者が、時間外労働の上限規制を超える労働は違法であり、持ち帰り残業であっても時間外労働をした場合は原則として残業代が発生する、ということをしっかりと認識・共有することが大切です」

 会社側は残業規制についての仕組みを理解し、労働者に長時間労働をさせないような体制を整えるべきでしょう。そして労働者側も規定の労働時間を超えそうになったら会社に相談してみるといいかもしれません。中小企業の残業規制がワーク・ライフ・バランスの実現に一役買ってくれることを期待したいですね。

<TEXT/林加奈>

子育て中のママライターです。大学卒業後、通信関連会社、広告代理店等を経て結婚後にフリーランスのライターに転身。法律、子育て、キャリア、就活など、さまざまなジャンルの記事を執筆しています
Twitter:@emma_webwriter

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