「車移動好き上司」の運転手になった若手の本音。都内から九州まで運転も
運転中に無駄なことをやらされる
取材する前の段階で倒れてしまいそうなスケジュールですが、当時は事故に遭うということは考えないようにしていたそうです。
「上司からは1分1秒でも早く目的地に到着しなければいけない、というプレッシャーを常に感じていて。『高速道路は一気に飛ばさないとダメだ。速度は130キロ以上をキープしろ』というようなことも言われていました」
高速道路の最高速度は100~120キロまでですから、速度オーバーを容認するような指示です……。そのためオービス(ORBIS、速度違反自動取締装置)のある箇所は速度を落としていたとか。
上司の無茶振りはそれだけではとどまらず、とくに見る必要のないような案内標識の確認もしないといけませんでした。
「目的地まではナビゲーションがあるので、高速道路の案内標識はさほど気にかける必要もなかったのですが、助手席にいる上司が『今の標識になんて書いてあった?』と聞いてくるんですよ」
1時間近く車内で説教されることも
「もしも私が見逃してしまっていたら、『雑誌の記者たるもの、どんな些細なことも気にかけておくことが大事なんだよ。それを怠ってるのはダメ』と言われてしまい、1時間近く車内で説教されることもしばしば。しかも、かなりのおしゃべり好きな人でしたから、どうでもいい世間話の相手もしなければいけませんでした」
確かに雑誌記者はアンテナを張るのが仕事の基本ですが、さすがに関係ない案内標識はスルーしてもいいと思いますが……。ところで、新幹線や飛行機を使うのはどうしてダメなんでしょうね。どう考えても社用車の長距離移動は非合理的です。
「車に積んでいたカメラ機材なども、出張先のホテルに宅配便で先に送っちゃえば済む話でしたからね。とにかく当時は毎週のようにバカみたいな長距離を運転させられていましたが、それについて上司から納得のいく具体的説明は一切なかったです。
ただ、数年間その上司に接してなんとなく感じたのは『歩きたくない』『電車やバスにも乗りたくないし、飛行機は嫌い。でも車は好き』というわがままです」