漫画家200人と会って感じた問題点。編集者未経験の33歳が起業するまで
編集者経験がないのに…「葛藤は当然あった」
――実際に漫画家さんにアドバイスをどのようにしますか。
前田:当初は僕自身、編集者経験がないので「漫画家に指摘して良いのか?」という葛藤は当然ありました。ただ、漫画家のみなさんに話を聞くと、編集のプロとしてではなく、イチ読者としてのアドバイスを求めている方も数多くいたんです。
なので今は「一読者として、この漫画を読んでどんな感想を持ったか」「企業の目的や意図と、マンガがきちんとマッチしているか」というフィードバックをするようにしています。
――他にはどんなサービスを提供しているのでしょうか?
前田:“今 世界を変える人を マンガに”というコンセプトの「Foolish」というマンガWeb雑誌を創っています。なぜその事業や挑戦をはじめたのか?というその人の始まりの物語を読めて、読者はその挑戦の「価値」と「想い」を知ることができ、その人を応援したくなるようなマンガです。周りにカッコイイ大人がいないと嘆いている学生に「チャレンジをしている人たちが世の中を変えている」というメッセージを届けたくて始めました。
魂をかけて取り組む「ライフワーク」を手伝いたい
前田:「プロジェクトXの漫画版」というのがイメージしやすいのかもしれません。こちらから起業家や挑戦しているフリーランス、医師や学生の方などからお声をもらったり、お声がけをして、彼らの人生やチャレンジの様子を漫画にさせてもらっています。
僕としては大人向けの漫画が「Foolish」なんです。海外の有名な講演会「TED」に出る人とかも漫画でできないかと思っていますし、海外で起業しているすごい面白い人とか、伝統と現代に挑戦しているアーティストとか。ゆくゆくはそんな海外のFoolishな人を取材して載せていきたいですね。
――これから漫画家とどういう作品を生み出していきたいか。
前田:これまでお話した広告漫画はどこまでいっても「ライスワーク」だと思っています。自分が興味のない仕事よりかは、マンガを使っていて学びなどもあると思いますが、食べていくための仕事という面も現時点では強いと思っています。
でも最終的には、漫画家自身が魂をかけて取り組む「ライフワーク」の仕事ができる環境のお手伝いをしたいです。「Foolish」で一緒に仕事をしている漫画家のクニさんは、この仕事に本当にやりがいを持って取り組んでくれています。
そういう「ライフワーク」と「ライスワーク」が一致する形が理想ですね。そんなマンガを作りながら、多くの企業の成長を応援する「日本のアップデートをマンガで加速させる」を実現していきます。
<取材・文・撮影/詠シルバー祐真>