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漫画家200人と会って感じた問題点。編集者未経験の33歳が起業するまで

学び

 出版不況と言われて久しい昨今。一度華々しくデビューを飾った漫画家でも、ずっと第一線で活躍できるわけではない。ウェブやSNSなど漫画家の活動の場は増えているが、すべてが人気者になれるわけではない。

漫画家

※イメージです

 そんななか、出版社や編集者に代わって、漫画家やイラストレーターの営業やマネジメント業務を行うエージェント会社が注目を集めている。

 そのひとつが「漫画家が漫画を描くことだけに集中できる環境を」をスローガンにした漫画家芸能プロダクション「株式会社まんがたり」だ。大手IT企業を退社し、同社を立ち上げた前田雄太さん(33歳、@mangatari_maedaに話を聞いた。

「ドラゴンボール」にハマって蔵書は1万冊超

――漫画にまつわる仕事につこうと思ったきっかけは?

前田雄太(以下、前田):子供の頃から漫画好きでした。きっかけは小学生のとき「ドラゴンボール」を読んでハマって「ダイの大冒険」「るろうに剣心」「SLAM DUNK」などジャンプ作品を読んできました。

 他の子供と同じように本当に「かめはめ波」を打つための練習をしたり(笑)。社会人になって自分のお金で漫画を買えるようになってからは歯止めが効かなくなり、いま蔵書は1万冊以上ありますね。

――九州の大学を卒業してからは地元メーカーではなく、都内のIT企業に入社します。

前田:偏差値ランキングから逆算して、学費も安そうな国立の九州工業大学工学部に入りました。ただ入学後、得意だった数学がそこまで好きではないことに気づいた(笑)。半分以上の生徒が研究室の推薦で日立製作所やトヨタ自動車、NEC、東芝といったメーカー企業に就職するなか、私だけが一般公募でワークスアプリケーションズに入社しました。

――大学入学してから数学嫌いに気づいた。そこで、なぜワークスアプリケーションズに入社したのでしょうか。

前田:友人からmixiでワークスアプリケーションズの就職説明会が行われると知らされたんです。しかも九州から東京までの交通費6万円を企業負担で出してもらえる。半分はお金にツラれた感じです(笑)。

「ゼロから1を作るスキル」説明会で衝撃

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「株式会社まんがたり」の前田雄太さん

前田:説明会では、創業者で社長だった牧野さん(正幸。現在は退任)が学生を前に「高度経済成長終わって大手企業が人生の安定となる時代は終わる」「本当に安定したいんだったらゼロから1を作るスキルを身につけることが必要」「そのスキルを身につける唯一の方法は難しい課題、問題に挑戦すること」「それは20代のうちに学んだほうがいい」と、かなりインパクトもあることを言ったんです。

 今思えば青臭いですが、当時はそれに感動して「この会社に入ろう」と決めました。

――それですぐに入社できたのでしょうか?

前田:インターンシップをクリアする必要がありました。当時はインターンシップという言葉もそこまで浸透していませんでしたが、「派遣社員を抱えている企業に業務改善システムを提案する」という課題で、東京に1か月間泊まり込みでシステム構築をやりました。

 最終日には社員さん相手にプレゼンまで行いました。ゼロから考える力、頭の柔軟性を見るということで、当然、ググったり検索するのも禁止。プログラミングの知識もほぼないなか、必死でしたね。

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