日本発のスニーカーブランドが「ひらがな推し」になったワケ
スニーカーフリークから起業家へ
キャッチーなひらがなのロゴは、ひらがなスニーカーの代名詞。主力製品である「にゅ~ず」は、その愛らしいデザインとユニーク性が好評を博し、売り切れ続出の状態だ。
「『にゅ』というデザインは特別意味があるわけではありません。正直『にゃ』でも良かったのですが、商標が取れたので、ロゴに採用しています。今となって思うと『に』は人が笑っているように見える形なので、ひらがなの持つ丸っこくてかわいい、親しみやすさが伝わると思います」
さらに、スニーカー好きだからこそ「アフターケアサービスにも力を入れている」と語る。
「スニーカーをたくさん履いてきたこそわかるのですが、何度も履くことですぐに壊れてしまう課題を抱えていました。ひらがなスニーカーは素材の選定から製作までハンドメイドで作っています。長く履いてもらいたいため、ソール張り替えやアッパーの修理といったアフターケアを充実させています。
また、他のスニーカーはあまりやっていない1年間の無償保証も付けています。末長く愛着の湧く一足として、お客様に愛されるものを届けたいという想いです。企画から製造、販売まで一貫してやっているからこそできるサービスです」
スニーカーフリークから起業家へ。自分の好きなことを貫いてきたこそ、スニーカーを履く消費者がどのようなものがあればいいか、どんなデザインであれば気に入ってもらえるかが分かるわけだ。
「スニーカー作りで意識しているのは、愛好家であるコアなファンが“心にぐっとくる”ような商品であること。1990年代のスニーカーブームに流行った往年の名作からインスピレーションを得て、スニーカーのデザインやカラーリングをしています。コアなファンにスニーカー愛が伝われば、自ずとブランド認知され、広がっていくと思います」
法人向けの「FUNスニーカー」事業で常識を覆す
創業から5年を迎えたサンガッチョジャパン株式会社。今年から新たに取り組むのが「FUNスニーカー」事業だ。
これまで、NYC(米・ニューヨーク市)やオーストラリアのイラストレーターであるMULGA(モルガ)とのコラボレーションを行い、海外での評価を得てきたひらがなスニーカーを、企業や組織のファンづくりの新たな一手として活用するのだ。
「スニーカーという商品は、これまでお客様から見て高級なのか手頃なのか、機能的なのか汎用的なのかと“B2Cの目線”で考えられてきた。
ただ、ひらがなスニーカーのポジショニングを考えた場合、ロゴは固有のものを作ることができ、小ロットから制作できることは、大量生産で画一的なロゴを軸に置いた他社のスニーカーと差別化を図れることだと気づきました」
こうした背景のもと、コアなファンがいるコミュニティの中で販売、コラボするために生まれたのが「FUNスニーカー事業」だ。「ひらがなスニーカーをハブにしてチームや組織とファンを繋ぎ、より深いコミュニケーションの創出に寄与できるのではと考えています」と前田氏は語る。
すでに第一弾として、プロ野球のパ・リーグ6球団とのコラボレーションが決まっているという。