我慢はするだけムダ。「嫌なことのやめ方」を専門家に聞いた
余裕ができたら大きく決断
コーチ・コンサルタントの山口由起子氏は、次のように話す。
「30代後半以降でバブル期を少しでも経験した人は、がむしゃらに頑張れば豊かになれるという記憶が残っている。あるいは変化を恐れるがあまり現状に満足し、嫌だと感じている状態が当たり前と思い込んでいる人も多い」
やめることに罪悪感を覚えたり、気の進まぬまま「仕事のため」と言って資格取得やスキルアップに励んだりするのもその典型例だ。
「本来、会社とは誰が欠けても回るもの。回せないのであればそれは会社の責任ですよね」
具体的なやめ方とは。
「まずは自分が嫌だと思うことを書き出し、小さなことからやめていく“決断(選択)”をすること。すると次第に心に余裕ができて、本当にやりたいことも出てくるので、その段階になったら会社を辞めるなど大きな決断をします」
成功体験を積み重ねて心理をつくる
「嫌なのにやめられない」心理的要因はどこにあるのか?「自分中心心理学」を提唱する心理カウンセラーの石原加受子氏は「嫌なことを我慢してうまくいくことはほぼない。成功しても必ずどこかで破綻します」と話す。
「やめたい、やめたくないというのは二分化思考。その思考の世界では、やめると無になってしまうため、やめる行為自体をネガティブに捉えて動けないのです。やめられたとしてもネガティブな言動パターンを保持したまま成功する可能性は低いでしょう」
また、「嫌なことをやめたいと口にしている人は、やりたいこともわかっていない」とも言う。
「他人の目を気にしすぎて自分自身の気持ちをしっかり見つめてこなかったからです。やめられる人は、好きなことをするためにどうすればいいのかを考え、計画的に行動できる人です」