駅のホームから無意識に飛び降りそうに…ブラック企業社員のリアル
駅のホームから飛び込みそうに
人手不足の影響で、橋本さんの1か月30~40時間だった残業時間は、合併した2か月後には倍増。
「さらに半月に1日は休日出勤を強要されました。そこまでして働いているのに『もっと早く作業しろ』とプレッシャーをかけられるんです。合併してから退職するまでの1年半の間に適応障害やうつ病と診断された現場組の同僚が3人もいました」
自身もかなり病んでいたそうで、「通勤中の駅のホームで無意識のうちに線路に飛び込もうとしたことがある」と話すほど。
それでも橋本さんは既婚者であるため、奥さんに心配をかけまいと何も言いませんでした。しかし、ある日、「嫌なら(会社を)辞めてもいいんだよ」と言われ、決心がついたそうです。
「妻は、僕の様子がおかしいことにずっと気づいていたようです。でも、その一言のおかげで吹っ切れることができました。それから数日のうちに辞表を出し、2か月後に辞めました。
これ以上、人が減ると仕事が回らなくなって困ると思ったのか会社からは引き留めにあいましたが、手のひらを返したような態度が余計に気持ち悪かった。20代なら転職に障害なんてほとんどなかったわけですから、もっと早いうちに転職をするべきでした」
ようやくたどり着いた普通の職場環境
現在、橋本さんは空港のグランドハンドリングスタッフ(※荷物仕分けなどを担当する地上職員)として勤務。月収は諸手当込み手取り27万円とメンテナンス会社のころとほぼ変わりません。
ですが、労働時間は激減し、プライベートの時間が持てるようになったといいます。
「残業は月10数時間ですし、休日出勤もなし。きっと当たり前の職場環境なんでしょうけど、ホワイトだと感じずにはいられません。それだけ前の会社がブラックすぎたということなんでしょうけどね」
長時間労働を平然と課してくるような会社に勤めている場合、個人の力でその環境を改善させるのは難しいです。
辞めることに抵抗や不安を感じる人も多いかもしれませんが、そんなときこそ、転職して環境を変えるという選択肢を検討したほうがいいのではないでしょうか。
<TEXT/トシタカマサ>