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90周年の津軽鉄道ストーブ列車。車内でスルメも焼ける

暮らし

ダルマストーブの管理は車掌が行なう

 ディーゼル機関車の警笛が鳴り響き、定刻通り11時50分に発車。途中の毘沙門、川倉、深郷田を通過する“快速運転”だ。

ストーブ列車

車内販売では、どら焼きやおみやげ用の石炭クッキーも販売

 車内ではアテンダント2人、車内販売員1人が乗り込んでいる。前者は乗客の世話係で、乗客に声をかけて、沿線や車内の案内などを行なう。しゃべり声は標準語でも津軽ナマリ。乗客のほとんどはアクセントにナマリがないので、非日常の世界を味わっているようだ。後者はスルメ、アルコール類、お茶などを販売する。

 車内放送、ホームの安全確認、ストーブの操作は客車乗務の車掌が行なう。こちらはナマリがない。時よりダルマストーブに釧路の石炭を投入し、車内保温に努める。

キャンバス列車に遭遇

 津軽飯詰を発車すると、アテンダントの1人がマイクを使わず、肉声で絶景雪景色の案内をする。天気のいい日はタヌキ、キツネ、ウサギの足跡が見えるという。

「ウサギは後ろ脚そろえて飛び跳ねるので、(足跡が)すごくわかりやすいです。三角形みたいな足跡が見えれば、ウサギだと思って大丈夫です。一直線の(足跡)はなんなのかわからないです。おっきい足跡が残ってたら、よくて(撮影に来た)カメラマンの足跡です」

 アテンダントはオチを入れて、乗客の笑いを誘おうとするも空振り。車内が凍りつくことなく、明るく温かい雰囲気で旅が進む。

ストーブ列車

廃車後、新たな息吹が与えられたキャンバス列車

 嘉瀬で廃車後、留置された古い単行気動車に遭遇。質実剛健な顔に似つかないカラーリングが目立つ。これは元SMAPの香取慎吾と地元の小学生たちが1997年夏、当時現役の古い気動車を“お色直し”し、キャンバス列車として新しい息吹が与えられた。2000年に廃車後、金木駅に展示されたのち、嘉瀬駅に移住し、“終の棲家”を得た格好だ。

 その後、2017年5月に再びお色直しし、6月にお披露目されたそうだ。津軽中里寄りの前面デザインは、ねぶたをイメージして描いたという。

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