同僚の前で「部下を叱ったら」パワハラ?最新ハラスメントの境界線
ハラスメントの意識だけではなく、「指導方法もアップデートすべき」と指摘するのは白河氏だ。
「今の若いコたちは、定年まで同じ会社に勤められると考えていないので、理不尽な熱血指導などは我慢しません。『フィードバック』など最新の指導法を学んでください。上司のところに行くときは、スマホの録音機能をオンにしているという話もよく聞きますよ」
体に触れるのは厳禁!無遠慮な言動もNG
セクハラも、サラリーマンが注意すべき職場でのハラスメントである。白河氏はセクハラの境界線を、「正当な理由がなく、体に触れる行為」と教えてくれた。
「今の時代、女性社員の肩を『お疲れさま』と叩く行為もセクハラになります。日本よりも対策が進んでいる海外には、『5秒以上相手を見つめてはいけない』、『同僚の電話番号を聞かない』といったルールを設けている企業もあります」
好奇心やお節介が繰り返されると、セクハラ認定されることもある。ある20代男性は「女性の先輩が『彼女いたことないの? なんでつくらないの?』としつこく聞いてくる」と嘆いた。
笹山氏は「不快な言動は、どれくらいのペースで言われたのかが重要になります」と語り、こう続ける。
「彼女の話はしたくないと明確に伝えたり、話題をスルーするなどして行動で示したりしたにもかかわらず、続くようであれば悪質。お昼のたびに聞かれたとすると、1か月も我慢すれば、セクハラとして十分だろうという気がします」
パワハラ、セクハラの一括りにできない
また、近年はハラスメントの種類が細分化。
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<細分化されたハラスメント>
・ケアハラ
……育児休業や介護休業に関するハラスメント。育児や介護のための制度を利用したことに関して、上司や同僚が「もう帰るの?」「そういう人は戦力にならないから」など、就業環境を害する言動を行うと該当する。
・SOGIハラ
……性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)について、差別的な言動、嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせ。職場の飲み会での「ホモネタ」、「レズネタ」もSOGIハラにあたる。
・レイハラ
……レイシャルハラスメントのこと。人種や民族、国籍に関する、不快かつ不適切で配慮に欠く言動が該当。職場に外国人を馬鹿にしたポスターを貼る、合理的な理由がないにもかかわらず外国人の賃金に差をつけるなど。