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始発から終電まで「テレアポ営業」。ノルマ重視なブラック企業の実態

学び

 就活で内定ゲットし、張り切って入社したら実はブラック企業。むごい仕打ちに遭ってしまったという事例は決して珍しくありません。

電話 テレアポ

 その一例として、基本給とは別に、企業が極端な報奨制度(インセンティブ制)を採っていて、社員ごとの格差が大きくなり、できない社員に対しては無慈悲な扱いをしたり、会社に居づらくしたりするケースがあります。

1時間に100件近くテレアポ

 そんな地獄のような日々を過ごしてしまったのが、当時通信機器会社の営業マンで、現在は家電メーカーで働く宮 達敏さん(仮名・28歳)です。本人に話を聞きました。

「通信機器会社に入社して、最初は営業部に配属されて、素直にラッキーと喜びました。というのも契約が取れたら、1件につき5000円のインセンティブがもらえることになっていたんです。1か月で契約10件取れたらボーナスで5万円。新卒で基本給も抑えられていたため、頑張って稼ごうと意気込んでいました」

 5年前に辞めたブラック企業の出来事を、宮さんは昨日のことのように振り返ります。

「ただ、ノルマが厳しくて、1時間に100件近く電話しなくてはならないんです。全員受話器と手をガムテープでぐるぐる巻きにされ、アポイントが取れるまで受話器を置けません。明らかにコンプライアンス違反なのに、法務部は見て見ぬ振り、あってないようなものでしたね」

始発から終電まで会社に居続ける生活

電話

※イメージです(以下同じ)

 しかも残業禁止の職場で、オフィスは20時で強制消灯されるはずだったのですが――。

「懐中電灯を使って24時まで残業させられるんです。入社したての頃はなかなか契約が取れないので、始発電車で会社に行って、へとへとになるまで残業させられます。終電車で家について眠ったら、翌朝またぐるぐる巻きですよ」

 焦りに焦りまくっていた宮さんが、やっと契約が1本取れたのは、配属1週間後のことでした。

「やっと1件契約が取れてほっとしていると、主任から『まだビリから2番目だよ』と冷たい言葉を投げかけられたんです。人がせっかく喜んでいるのにヒドい仕打ちだなと思いました。結局、その日は20時まで追加契約は取れなかったです。帰り際、主任から『このままだと、明日からまた懐中電灯だね』と言われました」

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