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非電化区間にも進出「JR九州」蓄電池電車・DENCHAの乗り心地は?

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香椎線用BEC819系300番代に乗車

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BEC819系300番代に乗車

 次は香椎線宇美から、マイナーチェンジを施したBEC819系300番代の普通列車香椎行きワンマン電車に乗車する。若松と同様、宇美も充電用の架線がない。

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白い本革の背もたれや枕に「優先席」を表示

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車体側面に取りつけられた監視カメラ(写真左)と、車内のくずもの入れ(右)

 この車両は車体側面に監視用カメラ、乗務員室に監視用モニターが設置され、乗務環境の改善を図ったほか、座席下に木材パネルの設置、優先席の表示をより明確化、くずもの入れを“見える化”した変更点もある。また、香椎線には、監視用カメラとモニターの取りつけ改造が施されたBEC819系100番代も運用されている。

 ホームと電車のあいだには段差があり、乗降しにくい。注意しないと降りる際に転倒の恐れがある。先ほどの筑豊本線では、ラクに乗り降りできた。おそらくBEC819系の投入前後にホームのかさ上げ工事を行なったのであろう。今後、香椎線にも同様の工事をJR九州にお願いしたい。

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 15時53分に発車。先ほどの筑豊本線と異なり、複線区間がないほか、電化区間もない。いささか厳しい環境ではあるが、のちにあることを知る。

 次の新原(しんばる)で普通列車宇美行きワンマン電車と行き違う。宇美は1番のりばしかないので、新原で行き違いが生じるのだ。

 酒殿(さかど)でも行き違いのため、5分停車。下車客の多くは、構内踏切を渡り、2番のりば側の出口へ向かう。

香椎線列車の電車化により全線走破列車が減少

 篠栗線乗換駅の長者原(ちょうじゃばる)で下校の高校生が多く乗り、ロングシートがほとんど埋まる。車内は友達同士のおしゃべりに花が咲く。

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土井は山陽新幹線の高架下に停車。ホームに放置されたベビーカーの持ち主は、発車まで現れなかった

 土井はJR西日本山陽新幹線の高架下に駅を構えており、ここで3回目の行き違い。すべて私が乗車する列車が待たされている恰好だ。ホームにはなぜか無人のベビーカーが放置されており、気味が悪い。

 鹿児島本線に合流し、16時32分、終点香椎5番のりばに到着。向かいの4番のりばには、始発の普通列車西戸崎行きワンマン電車が宇美始発列車の乗り換え客を待っている。

 香椎の香椎線ホームには充電用の架線が張られており、運転士はパンタグラフを上げて急速充電する。

 香椎線は西戸崎―宇美間25.4キロの路線で、気動車時代より西戸崎―香椎間12.9キロ、香椎―宇美間12.5キロの区間運転が中心。往復すると前者25.8キロ、後者25.0キロを走行することになり、烏山線宝積寺―烏山間の20.4キロを上回る。

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JR東日本EV-E801系ACCUM

 さらにJR東日本男鹿線にもEV-E801系ACCUMが投入され、追分―男鹿間の距離は26.4キロ(男鹿に充電用の架線が設置されている)。現在のところ、主回路蓄電池の経年劣化、空調の使用なども勘案すると、非電化区間における営業列車の航続距離は、30キロが目安と推察する(ちなみに、BEC819系は事前の航続距離試験で、約90キロまで走行できることが確認されている)。

 なお、香椎線には全線走破する列車があり、2019年3月16日のダイヤ改正前は下り8本、上り7本(香椎で列車番号が変わる列車も含む)だったが、ダイヤ改正後は下り4本、上り5本に減少した。気動車時代、香椎の停車時間は最短2分に対し、BEC819系は急速充電を行なうため、最短でも9分の停車が影響しているようだ。

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