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ぶらさがり器具も意味なし…ニセ健康法が流行るカラクリ

暮らし

 よかれと思って取り入れていた習慣が実は健康を蝕んでいたとしたら……。そんな考えたくもない「不都合な真実」が存在する。専門医に気になる真相を聞いた!

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※画像はイメージです

なぜニセ健康法ははやるのか?

 効果が怪しい、または根拠に乏しい健康法は決して少なくない。それでは、なぜそんな誤った情報が広がってしまうのか。予防医療の第一人者である岡田正彦氏は次のように解説する。

「ごく一部には善意から情報を発信している人もいるかもしれませんが、ニセ健康法をひも解けば、その多くが経済的に得をする人たちがいるからです。そもそも医学的な裏付けのない健康法がはやるのは今に始まったことではありません。

 例えば、かつて大ブームを起こした『ぶら下がり健康器』。物干し竿のような装置が各家庭に置かれるほどの騒ぎでしたが、あれもエビデンスがないまま流行。結果的に体への負担も大きく、一気に廃れましたが、手を替え品を替え歴史が繰り返されているだけにすぎません」

医者がやらない健康法

ニセ健康法の先駆けともいえるぶら下がり健康器具。ブームから40年以上たった今でも類似品が出回るなどしぶとく生き残っている

 氾濫するニセ情報に対して自衛する手段はあるのか?

「医者や研究者の発言であってもすべてを信用するのは危険です。例えば、以前、酵素サプリメントの本が話題になったのですが、そもそもその効果をメディアで語っていた人が実はその酵素の製造に関わっていて、すべては製品を売るためのポジショントークでした。ネットやSNSがいくら普及しようと状況は大きく変わらずで、真偽不明の情報の独り歩きは止まりません」

 利己的な発言をする“共犯者”は何も医者やメーカーだけでない。「国民がほどほどに不健康で、常に健康になりたいという状態が一番。都合のいい人たちがあまりに多すぎることが元凶と言えます」と歯科医の長尾周格氏も指摘する。

「病気がなくなれば仕事がなくなる病院や製薬会社、広告費が欲しいメディアはいわばグル。薬機法などのルールは存在しますが、その隙間をぬって、今後も似たようなニセ健康法ブームは起こる可能性が高いです」

 本来であれば、監視する立場もまったく機能していない以上、正しい情報を主体的に集め自衛するほかない。

【岡田正彦】
医学博士。新潟大学名誉教授で現・水野介護老人保健施設長。予防医療・長寿科学の第一人者として活動し、間違った健康法やダイエットを暴く著書を多数手がけている

【長尾周格】
歯学博士。予防歯科を専門とする「稲毛エルム歯科クリニック」院長。著書に『歯医者の99%は手抜きをする ダメな歯医者の見抜き方 いい歯医者の見分け方』など

― 医者がやらない健康法 ―

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/岡戸雅樹 イラスト/大ハシ正ヤ>

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