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株価暴落に備えよ。初心者でも暴落で資産を増やす、3つの準備

コラム

暴落時に資産を増やした人に話を聞いた

 都内のシステム会社で勤める田中さんは、リーマン・ショックが起こったときは20代半ばでした。頻繁にトレードすることはないものの、ボーナスも含めた貯蓄で、就活のときに受けた企業やもともと知っている有名な企業を少しばかり購入していたそうです。

 暴落時に資産の大部分の約50万円を投入した三菱商事(8058)は、他の銘柄と一緒にチェックはするものの値段が高くなかなか手が出せなかった銘柄のひとつでした。

「リーマン・ショック直後は3400円前後だった三菱商事の株価が約1000円になり、それから2か月くらいは1100~1200円台を推移していました。銘柄の割安性を示すPERも約13だったのが3.5程度に下がっていました。考えた末、最終的に400株、約50万円分購入しました。」

 田中さんの決断は正しく、三菱商事は2019年5月時点で約2900円の価格となり、投資した約50万円は2.5倍の125万円となりました。配当も2018年度ベースで年間約4万円(税引き後)となり、投資額50万円に対して年間8%も受け取っています。

暴落時に資産購入するためには…3つの準備を

お金 資産

 田中さんの投資方法を再現するにはどうしたらよいでしょうか。今からするべき準備をまとめました。

1. 現金(預金)を最大限確保しておく

 田中さんは、20代半ばながら100万円近いまとまったお金が手元にありました。浪費癖もなく、ボーナスも含めて貯蓄できていたのは性格によるところが大きいのでしょうが、「お買い得」の銘柄をできるだけ多く仕入れるためには、預金を最大限確保しておくことにこしたことはありません。

2. 暴落時に投資するべき銘柄を把握しておく

 田中さんの場合は、頻繁にトレードはしなかったものの気になる銘柄については、どんなビジネスを行っているのか、PERや利益率など基本的な数字のチェックをしていました。市場の暴落を目の当たりにした際に、購買するべき銘柄はあらかじめ整理しておくべきです。

 別の方策として、個別株を購入しない、という選択肢もあります。日経平均に連動するETF、「MAXIS 日経225上場投信」や「iシェアーズ 日経225 ETF」なども選択肢としてはありでしょう。もしくは今後の日本市場に対して懐疑的であれば、世界に分散投資できるバンガード・トータル・ワールドストック(VT)などもよいでしょう。

 これらの選択肢は、個別株のリスクを回避しながら、じっと株価の回復を待てるので投資初心者におすすめです。しかしいずれにせよ、購入するべき銘柄を決めておくべきなのは変わりないでしょう。

3. NISA枠を開設しておく

 投資で得た利益が非課税となるNISA口座は開設しておくべきです。田中さんの場合は、NISAの制度がない時代でしたが、彼がもらっている配当の4万円もNISA口座であれば、課税前の5万円がまるまる受け取れます。

 いまだに世界の株価は動揺を続けており、また暴落を予兆する指標はいくつか確認できます(シラーPERやVIX、日経VI、逆イールド減少など)。

 そう遠くない将来に暴落が起きた際、資産を増やすチャンスにできるかは今からの準備にかかっています。

<TEXT/飯田隆太>

米国銘柄中心投資家 。米国系 外資企業の財務部に勤務し、2週間に1度しか出社しない「コスパの良い働き方」をしながら、捻出した時間を副業と投資に向けることで、アーリーリタイアを目指している。自身の経験を基にしたキャリア戦略、副業、投資情報を運営サイト「ビズトレ!」で公開中

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