平均年収2000万円・キーエンス入社試験の超難関「説得面接」とは?元社員が解説
キーエンスで測られる能力② 多角的視点
次に多角的視点です。これは傾聴によって得た情報をもとに、具体的に説得を試みるための重要な要素となります。
例えば「マリンスポーツ派を登山派に変えて」というお題の場合、要素として、
・マリンスポーツだけに当てはまるメリット/デメリット
・登山だけに当てはまるメリット/デメリット
・マリンスポーツ派と登山派の共通点
が存在します。おおよそ面接官は学生の傾聴質問を踏まえて、「(一見)マリンスポーツだけに当てはまるメリットと、(一見)登山だけに当てはまるデメリット」を述べてきます。例えば、
「マリンスポーツは清々しくて気持ちいい」
「登山は遭難事件などが怖い」
「登山は備品を揃えるのにカネが掛かる」
「登山は登る過程が疲れる」
などです。これらの一見「それっぽい理由」をひっくり返すために、多角的視点が必要になってくるのです。手法は下記の2つ。
(1)自分にとって不利な理由を共通点に持っていく
(2)自分にとって不利な理由を価値観の転換により有利な理由に持っていく
(1)の手法が使えそうなのは、下記3つ。
「マリンスポーツは清々しくて気持ちいい」
「登山は遭難事件などが怖い」
「登山は備品を揃えるのにカネがかかる」
ここで(1)の「不利な理由を共通点に持っていく」手法を使うと、
「登山だって清々しいと言えば清々しいし、遭難のリスクがあったり、カネがかかることはマリンスポーツでも変わりませんよね? よって、それらの理由は、登山を拒む理由にはなりませんよね?」
となります。もちろん、本番はこんな乱暴な言葉づかいではダメですが……(笑)。
デメリットをメリットに転換する手法も
次に(2)の「不利な理由を価値観の転換により有利な理由に持っていく」について。(1)とは違い、なかなか共通点に持っていくのが難しそうな回答に対しての解決法です。これは、
「登山は登る過程が疲れる」
と言われたときに使えるでしょう。確かにマリンスポーツはやり始めに疲れるような過程などなく、海に入ればすぐに楽しむことができます。どうやら登山だけのデメリットになってしまいそう……。ここで強く求められるのが多角的視点です。
「(一見)登山だけに当てはまるデメリット」を「登山だけに当てはまるメリット」に変えてしまえばいいのです。
例えば「登る過程がきつければきついほど、それを終えたあとの清々しさは一層際立ちます! マリンスポーツを好まれる理由が清々しくて気持ちいとのことでしたが、登山はその清々しさをマリンスポーツ以上に感じることができます」というように。
「登る過程が疲れる=デメリット」という価値観を「登る過程が疲れる=メリット」に変えたということになります。この変換は、思考が多角的ではないとなかなかできず、「説得面接」を突破する特に重要なスキルになるでしょう。