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東京メトロと東大、鉄道ワークショップを開催。モーターの歴史を学ぶ

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電車は直流モーターから交流モーターの時代

 午後の後半は電車モーターの進化について講義を受ける。記事では講義のテキストと私の補足を入れてお伝えしよう。

東武鉄道

直流モーターと抵抗器を搭載した現役車両のひとつ「東武鉄道6050系」

 昔の電車は直流モーターが使われ、抵抗器を組み合わせた抵抗制御が主流だった。モーターの出力は抵抗器で調整し、熱にして外へ放出する。しかし、放熱によってエネルギーがムダになってしまうほか、ノイズの発生、モーターが大きくメンテナンスが複雑という難点もあった。特に地下鉄では車両の放熱により、トンネル内の気温が上昇してしまうこともあった。

鉄道

省エネ車両の嚆矢(こうし)となった東京メトロ6000系。写真のハイフン車(1次試作車)は、のちに抵抗制御に換装された

 1968年に世界初の電機子チョッパ制御を採用した営団地下鉄6000系が登場。超高速でスイッチをオンオフして電流を制御するので、消費電力を低減した。その後、界磁チョッパ制御、高周波分巻チョッパ制御などが実用化され、省エネ車両として私鉄や地下鉄を中心に普及した。

 しかし、引き続き直流モーターを使うため、メンテナンスに手間がかかっていた。

 それを解消したのが交流モーターだ。構造がシンプルで耐久性もあり、エネルギーも高効率。ただ、交流電流の精密な制御が必要であること、コイルに流す交流電流の周波数、大きさ、コイル間で時間差を作らなければならない欠点があった。

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21世紀に入ると、VVVFインバータ制御全盛の時代

 省エネ車両のチョッパ制御に代わる新しい省エネ車両(環境配慮型車両)として、交流モーターを用いたVVVFインバータ制御が1982年に熊本市交通局8200形で実用化。21世紀に入ると、新型電車はVVVFインバータ制御がスタンダード化したほか、交流モーターも進化し、永久磁石同期電動機が開発された。

鉄道

丸ノ内線新型車両2000系の永久磁石同期電動機(提供:東京地下鉄)

 これにより、エネルギーの使用効率が向上。発熱が抑えられるほか、モーターの密閉構造化により、低騒音化やメンテナンスの負担がさら軽減された。

東京メトロの省エネ化は駅の照明などにも

 東京メトロの営業車両は2014年、回生ブレーキつきに統一。

 モーターが発電機の役割を兼ねるもので、発電された電気が架線や第3軌条に戻されるほか、電力を必要とするほかの電車に送ることもできる。また、南北線の車両では駅の設備にも利用され、電気が効率よく使われている。

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東京メトロのチョッパ制御車両は、03系第12編成を最後に全廃

 そして、2018年、VVVFインバータ制御に統一。同じ制御装置でも技術の進歩により、走行時の消費電力や二酸化炭素の排出量も低減された。省エネは鉄道車両だけではなく、駅の設備にも導入されており、照明のLED化や太陽光発電システムの採用など、多岐におよぶ。

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“夏季講習”、修了式の様子

 すべての講義が終わり、修了式、集合写真撮影、交流会が行なわれ、17時頃に終了した。

【取材協力:東京地下鉄、東京大学 生産技術研究所】

<取材・文/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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